修心流居合術兵法 居合初伝形 ~帯刀での正座~

修心流居合術兵法で教授している居合形は、無雙直傳英信流を踏襲し、私が改編したものとなっています。

新参者や海外の修心流居合術兵法稽古会メンバーのために、今回は初伝形について記述します。

まず最初に初伝形についてですが、現在のところ全十一本あり、錬度に応じて同じ形でも“初・中・奥”の三種に分けて稽古を行っています。
連盟居合の英信流を稽古されている方から見ると、修心流居合術兵法の居合形は奇怪に見えるかもしれませんが、それぞれの動きには細かく意味と目的が隠されています。

初伝形の想定は己と敵、互いの間合いは畳一畳(約180センチ)。
これは膝頭から膝頭までの位置ではなく、己と敵の中心軸の距離です。

正座して背筋を正すと言えば、L字形に座する方が多いように見受けますが、L字に座すのは隙を作るだけですので、修心流居合術兵法では良しとしません。頭の位置は膝頭と足親指の丁度中間となり、そうして軽く傾斜がかかることで刀の柄は上を向かず、水平またはやや水流しの角度となり、手をかけるまでの時間短縮を図ることができます。

左右の膝頭は拳二つ分開け、刀は帯を中心に前半分、後ろ半分均等となるように、また柄頭は必ず臍前に来るように帯刀します。刀が水平に近い角度となるこの帯刀を“閂指(かんぬきざし)”と称します。

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二条城の門に見る閂

単に水平に近い角度で帯刀するのを閂指と称しているのではなく、上の写真に見るように、左右の門扉の閉じ目を中心に、閂が左右対称となる同じ長さになるように帯刀することを、修心流居合術兵法では閂指と考えています。

両足の親指は重ねません。
両手は指先を広げず、軽く閉じた状態で、鯉口の左右延長線上に左右の手の人差指拳が来る様に、また、手首は左右に曲がらず、肘肩張らず、肘から薬指までが一直線となるよう膝上に載せます。
下緒は単に鞘に掛けるのではなく、捩れが無い様綺麗に揃えながら左脚の横に添わせ、下緒先は膝頭の位置に置きます。

大刀を帯刀したままでの正座は有り得ない

そう考え、発言される方も稀に見かけますが、著書“最強のすすめ”でも記述しておりますように、武士と侍は異なる身分ですので、侍が大刀を帯刀したままで正座することは、おかしいことでも、作法に適わぬものでもありません。
江戸時代、当時としては至極当たり前のことです。

修心流居合術兵法修心館 東京道場

東京道場での直伝稽古は今のところ月に一回。主に土曜の10時~17時までの6時間で行っています。
他の土曜には有志の門弟が募り、自主錬を行うという内容です。

尚、東京道場は他の曜日でも個人稽古(個人使用)が可能です。

前回は6月18日に私の東京でのテレビ収録に合わせて稽古を行いましたが、この日は稽古初参加の新参者が一名、体験二名、見学一名が来られ、体験された二名の方は入門されることになりました。

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今のところはメンバーが少ないため、東京までの交通費などで採算はとれない状態ですが、なんとかメンバーを増やし、黒字に転じたいものです。

東京道場の他には現在のところ、アメリカのシアトルに修心流居合術兵法稽古会、中国の北京にある五輪館にも修心流居合術兵法稽古会が誕生しており、私の居合術を学びたいと言う熱心な方々が集まり稽古に励まれています。

来月16日17日は再び北京へ赴き、現地で直伝指導を行います。同23日はアメリカシアトルの修心流居合術兵法稽古会から、責任者である尾中さんとShoさんの二名が東京道場での稽古に参加されます。

修心流居合術兵法創設から11年。徐々にではありますが、ようやく修心流居合術兵法が拡がって行こうとしています。

鞘から速く抜くばかりが居合ではありません。
刀を振り回すばかりが居合ではありません。
刀で試斬するばかりが居合ではありません。

私が目指す居合にご興味を持っていただけたなら、どうか他の流派や道場へではなく、直接私の居合術に触れてみてください。

凄まじい将平刀の切味


動画、ご覧になれますでしょうか?
6月18日、19日の両日に行われたテレビ収録後の将平刀の切味です。

番組が放送されるまで、どのような物を斬ったのかはまだ発表できませんが、通常の日本刀なら刃こぼれをきたし、物によっては一撃で折損しているものと思われます。
そんな難物に斬り込む事数十回。

テレビスタッフの皆さんも、将平刀の凄まじい切味に驚かれていました。

「日本刀って強いんですね~」

確かに日本刀は強いのですが、全ての日本刀が強いわけではありません。
将平の刀が優れすぎているのです。

正直私と将平自身が一番驚きました。

斬り込む物が物だけに、刃こぼれは免れないだろう。場合によっては折れるかもしれない。
私も将平も、そしてテレビスタッフもそう考えていましたので、リハーサル用、本番用と、今回の収録では三振の刀を用意していたほどですから。

御様御用の山田浅右衛門も将平を試せば驚きを隠せないことでしょう。最上大業物より更に上の業物指定をするのではないでしょうか?
益々将平に惚れました。

将平刀の御注文は美術刀剣 刀心へどうぞ。
※将平は美術刀剣 刀心お抱え工につき、将平刀匠個人への直接の御注文はできません。

99.9に御剣怜侍の名を発見

私は昔から変なところに眼が行く性分です。
例えばドラマなどを見ていると、登場する建物を覚えてしまいます。
「あ、この建物、他のドラマでも使ってたね。」
と言う私の言葉に、妻はいつも
「変なこと、どうでもいいことばかりしっかり覚えるのね。」
と呆れています。

そればかりではありません。
ドラマの中で映る新聞記事を、一時停止して読むことも多いのです。

そんな私は日曜に放送されたドラマ「99.9 -刑事専門弁護士-(嵐の松本潤さん主演)」の中で、ゲーム・アニメ「逆転裁判」に登場するキャラクターの名前を見つけました。

99.9 ドラマ中の新聞記事

ご覧になれますでしょうか?
御剣怜侍 と 狩魔冥 の名前が載っています。

見つける私も私ですが、こういったドラマ制作側の遊び心が私は大好きです。

美術刀剣 刀心ご利用のお客様へお願い

刀剣の買い付け、写真撮影、編集、掲載、荷造り、発送、居合教授、テレビ出演、刀剣研磨等、全ての作業を私一人で行っております。
本来、もっとしっかりとしなければならないのですが、同時平行して多数の物事を進行することができない性質です。
何か作業をしていて、他の作業を優先すると、先ほどまでしていた作業のことを完全に失念してしまいます。

18日19日の両日は急に舞い込んできたテレビ収録のため、その二日前から撮影に使用する刀の研磨作業に追われ、お客様へのメール返信も、荷物の発送も、何もかもが頭から消えてしまい、複数のお客様にはご不安と御迷惑をおかけ致しました。
ここに改めてお詫び申し上げます。

このような手一杯の中、更には忘れっぽい性質であることを踏まえていただき、美術刀剣 刀心(私)とお付き合い頂ければと思います。

全て私が悪いのですが、あまりお叱りばかりを受けますと、元来人付き合いが苦手な性分だけに、“このお客様は苦手”となってしまい、今後の対応もギクシャクしたものになってしまいます。
我儘勝手なのは重々承知ですが、上記お踏まえの上、依頼しているものが遅い、返事が遅い、と感じられた時には、
「町井さん、○○のこと忘れてませんか?」
とメールにてご催促ください。

御協力のほど宜しくお願い致します。

iPhoneからテスト

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初めてiPhoneから記事を投稿します。
今回の収録で使用する刀達、左からBB弾斬り将平、将大、将平、将平です。

将平の斬れ味凄まじく、かなりの回数硬い物(放送まで現時点では非公開)を斬り込んでおり、一般的な刃物や刀では刃こぼれを免れないはずが、今尚斬れ味変わらずコピー用紙がスパスパと切れます。

改めて将平の斬れ味に惚れ直しました。

収録に向け刀を研ぐ

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刃毀れするかもしれない。

一生懸命した仕事が、一瞬にして無駄になるかもしれない。

そんな虚しさと戦いながら、せっせと収録に備えて刀を研ぐ。

上研磨下地を施す必要は無いと言えばない。

斬れれば良いのだから…

でも、手を抜くことができない性分なもので、ついつい真面目に研いでしまう自分がいます。

 

時間の都合上、半分より上、鎬地は極力いじらず、見せ所はしっかりとキメる。

カメラでのアップにも耐えうるよう、横手際も引き立たせる。

 
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改正砥(#1000)をかけ、横手際を攻めている途中。

まだ横手が定規で真っ直ぐに線を引いたようにはなっていません。これでも充分といえば充分なのですが、自分自身が妥協を許さず…

 

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丁寧に改正砥で横手際を攻める。腕の見せ所である横手、三ツ頭、三ツ角。

徐々に真っ直ぐな線になってきました。
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徹夜で研磨し、朝方少しだけ仮眠をとるつもりが、目覚めると13時…

時間が迫っているので指裏は… 帽子の研磨をここまでしっかりとすることを諦めました。

致し方ありません。

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カメラでのアップはこちらの指表面でお願いすることにします。

 

これで終りではありません…

リハーサル用のもう一振、将大刀の研磨にこれから着手します。

今夜も徹夜で明日は新幹線で仮眠となりそうです。

壊れるかもしれないとわかっていながら刀を研磨

研磨

テレビ番組の企画は突然やってきます。

今回は某実験番組からの依頼。

標的は相当硬いので、流石の日本刀も刃毀れを免れないと思われます。

刃毀れや折損の可能性がある収録に、思い入れある愛刀将平は使えません。

そこで急遽打卸の別の将平2振と将大1振を収録用に酷使することに決定。

酷使と言っても無駄に刃毀れをきたし、壊してしまうわけではありません。

実は今回使用するのは、将平刀匠と将大刀匠が実験的に鍛えた新たな鍛法による刀なのです。

テレビ収録での無茶振りをちょうど良い機会と考え、両者の刀を荒試しするというわけです。

 

折損することはないとは思いますが、私自身も初めて斬り込む対象物だけに、今回の荒試しデータには興味津々です。

 

しかしながら上述の通り、テレビ企画と言うのは突然依頼がやってきますので、日本刀が壊れる恐れある収録にも備え、常に5~6振は使える状態で置いておかなければ…

今回はそう言った刀の用意がなかったために、打卸を将平刀匠と僕とで研磨しています。

打卸に刃を付け、下地を整えるのは一苦労。写真は急刃をつけて刃線を整えた段階の打卸将平です。

願わくば内曇までかけたいところですが時間がありません。

本当は今日から東京入りの予定でしたが、研磨が間に合わないので一日ずらすことにしたものの、それでも間に合うかどうか。

全体を下地研磨から始めると、絶対に明々後日の収録に間に合わないため、裁断に使用する物打を中心に、刀身の半分から上だけを研いでいます。

 

平地と刃の部分だけで良いと言えば良いのですが、カメラアップにも耐えうるよう、いつも通りの丁寧な研磨で横手を立てて行きます。

また後程研磨過程を御紹介いたします。

本部道場定例稽古

前廻受身

何事も基礎が大切。

今日の稽古ではひたすら初伝居合形の一本目を一時間程繰り返し稽古。

10分だけ各々が稽古したい形を稽古し、後半は受身稽古に充てました。

来月末は北京へ再び居合の講習。

今日の稽古内容を北京でも稽古してもらいます。

刀 源正行 天保十五年八月日

刀 源正行 天保十五年八月日

刀 源正行 天保十五年八月日

http://nihontou.jp/choice03/toukenkobugu/katana/518/00.html

 

刀剣趣味人なら知らない方は居られない、江戸後期の名工“清麿”の正行銘が切られた刀です。
申すまでも無く偽銘ではありますが、刀の出来は良く、柾交じりの板目肌は肌立ち、互ノ目乱れの刃縁には砂流と金筋がかかるなど、見所多く、美術鑑賞刀として申し分ない出来口です。
更に本刀が観賞刀としてお薦めの理由として、無鑑査研師、故杉原弘師(故人間国宝永山光幹師の一番弟子)の手による上研磨が施されていることがあげられます。
名研師による凜とした横手、小鎬、三ツ頭の下地と化粧の良さをご堪能下さい。

将来的に無銘にされ、保存刀剣鑑定を受審されることをお薦め致します。

裸身重量801グラム。 拵に納めて鞘を払った重量1,069グラム。