脇指 播磨大掾藤原重高 ~刃長を読ませぬ打刀拵~

脇指 播磨大掾藤原重高

脇指 播磨大掾藤原重高
http://nihontou.jp/choice03/toukenkobugu/wakizashi/330/00.html

初代越前住播磨大掾藤原重高は、新刀期越前を代表する刀工で、新刀鍛冶工系譜に関兼則末葉又は門人とも伝えられています。 初・二代は受領ありそれ以下は受領無しと伝う。作風は良く出来た作に肥後大掾等に似るもの又日向大掾貞次等に似る作風のもの、互の目乱れ直刃等地鉄は板目、小板目の肌立ち心のものが多く見られます。銘字は初・二代とも『越前住播磨大掾藤原重高』を冠して、初代は重高の銘をやや横広に切り、二代は『重』の銘の中の『田』の上空間を縦長に、又『高』の銘字も縦長の形状になる。作刀は、初代は少なく、二代の作が多い。

この脇指は二代と思しき重高の作で、地鉄は良く練れて詰み、少しく肌立って精美。重高得意の沸本位の互ノ目乱れを焼き、匂口は明るく冴え、互ノ目足盛んに入り、刃先に迫らんばかりに足長く入った覇気ある作品です。

愛媛よりうぶで買い付けた三口の中の一口で、二尺を切る脇指寸法ながら、鞘の長さは(二尺三寸)70センチ程あり、完全な打刀拵になっています。天下泰平の世にあって、大小を腰に歩くのは重くて疲れると言った理由から、このように脇指を納めた打刀拵が流行ったのかもしれませんが、この刀を見るに、手擦れを起こしにくい無地の縁頭や厚めで凹凸が少ない鉄鐔(正阿弥包矩在銘)を装着している点から、天井が低い室内での戦闘等を考慮した武辺者の指料ではなかったかと推測します。

刀身の出来のみならず、こうした先人の拵に対する思慮にも思いを巡らせながら、是非この一刀をお楽しみください。328番の初代重高とご一緒に、初・二代の作を並べて堪能されるのも一興です。

裸身重量507グラム。 拵に納めて鞘を払った重量811グラム。

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