□□長船祐定 □□二月日 ~数多の戦場を渡り歩いた末備前の短刀~

□□長船祐定 □□二月日 ~数多の戦場を渡り歩いた末備前の短刀~
□□長船祐定 □□二月日
– Bishu Osafune Sukesada –
 
末備前物と称される室町末期の備前物の中でも、特に祐定銘の作品は多く、中でも与三左衛門尉、源兵衛尉、彦兵衛尉が有名です。刀剣の需要が多く求められた戦国期、備前刀は数多の戦に向けて数多く鍛えられ、そうした実用刀で俗名を銘切っていない末備前物を、数打と卑下する悪習が刀剣界にはありますが、粗製乱造されたわけではなく、俗名を銘切っていない作品の中にも、驚く程出来が良い作品が多々見受けられ、中には俗名個銘極めまで可能な出来優れた作も見られます。
 
この短刀は相当数の戦場を渡り歩いて来たと見え、研ぎ減りによって元来の姿から細っているものの、小板目流れごころで地景入った地鉄に、匂口明るく冴えた小湾れ調の刃を焼き上げ、刃縁に小沸付き、砂流かかり、足入り、一際太い金筋を交え、帽子は直ぐ調に先丸く沸筋を喰い下げつつ掃き掛けて返る等、短寸ながらも豊かな景色が楽しめる作品で、附属する青貝散塗の合口拵には『鉄砲角に平四つ目』と『平四つ目』紋が交互に黒漆にて描かれており、伝来の良さを感じさせます。
※柄の目釘穴には元来、梅花模様の鳩目金具が附属し、螺旋式の金属目釘は表裏共に金着でありましたが、現在はその名残をとどめるのみとなっています。御希望の方には補修も承っておりますのでお気軽にお問い合わせください。
 
裸身重量98グラム。  拵に納めて鞘を払った重量132グラム。

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