地に伏す相手を斬る ~八重垣等での斬り下ろし~


切り倒しまたは引き倒して、地面に伏す相手を真向に斬るには、振り下ろす刀を地面すれすれでビシッと止める技術が必要。
この動画は刃がついていない居合稽古用模擬刀を用い、低い位置に垂らしたコピー用紙を、地に刀を当てずに斬る様子を映しています。

ゆっくりと正確に形を稽古する

居合術は刀を抜き差しするだけの武術ではありません。
身体操作を身につけるにおいて、日本刀という物差しを用い、形稽古の中で無駄な動きを排し、身体本来の動きを探求するものです。

故に速抜きでの形稽古は初伝之抜、中伝之抜、奥伝之抜の三伝をしっかりと身につけた後に初めて行うものであり、速抜きを行うと言うよりは、必然的に速くなっているというのが理想かと考えます。
昨今、居合の形稽古において鞘を削る、割ってしまうという方がおられますが、そう言った順序を無視し、三伝を身につけていない状態で速抜き稽古を行ったり、速抜きすることこそが居合、剣術だと勘違いした稽古をするから、刀身にヒケ(擦り傷)をつけたり、鞘を無駄に壊してしまうのです。

数字を覚えた程度で因数分解はできないのと同じです。足し算引き算、掛け算割り算と言った、基礎をしっかりと身につけて初めて因数分解ができる。
自身の愛刀の鞘を覗き、削りカスや切り傷があるようでは、まだまだ速抜き稽古が出来る段階ではありません。

急いては事をし損ずる

昔の人はこのような言葉も残しておられます。
焦らず、楽しく、ゆっくりと稽古を重ねましょう。

初伝居合形

無双直伝英信流町井派を改め、修心流居合術兵法に名を変えてからは、本家を名乗る無雙直傳英信流の連盟や団体に遠慮することがなくなり、思いのまま、気の向くままに自由に稽古をするようになりました。
形を通して身体捌きを身につけるにあたっては、初伝形も初伝之抜、中伝之抜、奥伝之抜と三種にわけ、それぞれのレベルに合わせた稽古を行っています。

ざっくばらんにその違いを記しますと、初伝之抜では両手を刀にかけるまでの動きに特徴があり、横一文字の後の振りかぶりまでの動きでは両手にて受け流す形を作りながら行います。中伝之抜では半身のきりかたが初伝と異なり、両手で受け流す形だったものを片手で行います。一般的な英信流の居合に見る形に近いですね。奥伝之抜では両手のかけ方が手からではなく、肘の抜きにて行い、振りかぶりは片手受け流しまたは中心立ての要領で行います。

それぞれ納刀の動きも異なり、初伝之抜でははばき元から。中伝之抜では刀身の中程から。奥伝之抜では物打からとなるのですが、正面から見るとこの三伝の納刀はいずれも同じ動きに見えます。

他流や他道場では、奥納刀と言えば手首をくるっと返し、切先納めますが、修心流では独特の術理があって、こうした奥納刀を良しと考えておりません。あくまで三伝の納刀はいずれも同じ動きでなければならないのです。その理由についてはここでは触れません。

速さとは自ら速く動くものではなく、無駄の無い動きの中で自然と出来上がってくるものだと考えています。
故にゆっくりと丁寧に反復して居合形を抜く稽古を重ねるのです。
ゆっくりと正確な動きができないのに、速く動いてもそれは無駄な動きの塊であり、隙多き動きなのです。

修心流居合術兵法 アメリカシアトル支部直伝講習

9月8日に関空を発ち、アメリカのシアトル空港に降りました。
半年間、支部としてではなく、修心流居合術兵法稽古会と題して活動していたシアトル(カークランド)の方々を、このたび正式にシアトル支部として認定する記念すべき稽古会。

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9ヶ月ぶりに訪れるカークランド

9日は尾中シアトル支部長の御厚意により、シアトルの街を観光。
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清々しい朝

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ブルース・リーの葬儀が行われた教会。今はバーになっているそうです。
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珈琲豆焙煎工場が附属しているスターバックス。一号店と並び人気が高いそうです。
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店前のタイルには珈琲豆があしらわれています。
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ブルース・リーが眠る墓地へ。
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同墓地でフリーメイソンのマークを発見。
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昼食は生牡蠣。
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提供される牡蠣の産地を示した地図。
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ブルース・リーの母校でもあるワシントン大学。とにかく敷地が広大です。
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校内のこの広場が、ブルース・リーがジークンドーを教え始めた場所とのこと。
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水上飛行機が空を舞う。
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夕食はシアトルで有名なフライドチキン屋へ。
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夕方からはシアトル支部定例稽古に赴き、門弟一人一人に直伝指導。

シアトル支部稽古場。
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10日と11日の二日間は、10:00~17:00まで、みっちりと直伝講習会。
しかし時間が過ぎるのはあっという間で、時間が足りないと思うほど熱が入った稽古ができました。
今回の講習会には遠くコロラドからも三名の合気道経験者が参加され、日頃合気道で学ぶ剣の術理を、修心流居合術兵法の稽古の中で再確認されました。

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稽古課題は

・居合初伝形初伝之抜
・二刀
・脇指組居合居業之部数本
・居合柔術
・剣術(主に請流)

など。

今後の活動が期待されるシアトル支部。次回の直伝指導が楽しみです。

盗む

居合術を教授する時、私がよく門弟に言う言葉。

眼で盗め!

手取り足取り教えるのは簡単で、教わる方も「なんて親切な指導」と思うことでしょう。
しかし、RPGを攻略本を見ながら安易にクリアするようで私は嫌いです。

そう言う指導は短期間で形は上手になれても、技術としては身につかないのではないかと考えます。

とにかく「眼で盗め!」と口うるさく指導するのですが、正直なところ「何を見てたの?」と落胆することが多い。
形の手順をすぐに覚えることができなくても、一刀一刀における刀の位置、角度くらいはせめて一度で覚えてもらいたい。
一度で覚えることができなくても、10ある動きならその中の1だけでもいいから、己の眼で見て覚え、身につけてもらいたい。

どうしてそんなことをするんですか?

と言った質問も良いが、初心者のうちはただ黙って師の動きを忠実に写すことに専念すべし。

本部道場定例稽古

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前半は初伝形を八本目まで。
後半は久々に剣術形七本目まで。

まだまだ冷や汗かくほどの激しい稽古はできない。
今はしっかりと基礎を叩き込むことが先決。

修心館本部道場定例稽古(2016年8月18日)

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何事も基礎が大切とは言われますが、居合も同じで初伝形の一本目がまともに出来ずして居合を極めることなどできません。

近頃の門弟の動きを見るに、根本ができていないように感じられるため、形稽古は行わず、ただひたすら基本のみを稽古させました。

納刀時の刀の棟を載せる腕の位置。
納刀時の身体捌き。
大血振りの意味と確認稽古。
影抜き確認稽古。

上記四つのみに絞り稽古させました。

各連盟での英信流演武を見るに、大血振りの意味と所作が出来ている人は皆無と言って良いでしょう。
皆一様に手首で刀を捻る。腕を横に持っていく意味も理解できていない。それどころか腕をさっと丸く動かすだけ。
真向に振り下ろしたら後は単なる残心だと勘違いしていてはいけません。

形の所作にはそれぞれ意味があり、稽古課題が秘められているものです。

上に掲げた写真は大血振りでの所作を二人一組で確認稽古させているものです。
この写真一枚を見て、何を稽古しているのか悟れた人は武術的鑑識力が高い方と言えますが、「?」と思われた方は居合の理念を全く理解できていない方と言えましょう。

大血振りがうまく決まれば… とても面白い現象が起きます。
これを世間一般では合気と呼びますが、合気でもなんでもありません。いつも言うように単なる物理現象です。

敵は単独ではない。常に不利な条件下で稽古することこそ大切なのです。

修心館大阪豊中岡町道場定例稽古(2016年8月13日)

お盆ということもあって参加者は二名のみでした。

この日の前半は、居合形全てを抜かせました。
課題は奥之抜。
同じ形でも初伝之抜、中伝之抜、奥伝之抜ではそれぞれ身体捌きが異なって見えます。
やっていることは全て同じなのですが、奥伝之抜になると所作が省略されていくわけです。
当然ながら納刀も全て奥納刀となります。

ネットに掲載されている奥納刀を見るに、とてつもない勘違いをされていらっしゃる方が多いように見受けられます。
納刀時、腕に触れ始める部分がはばき元であるのを初伝の納刀、中程になるのが中伝の納刀、物打辺りになるのが奥伝の納刀と言う様に修心流では指導しています。
この奥納刀を勘違いされている方の殆どが、手首だけをくるっと返し、切先を鞘に納めるというものなのですが、私はこれを奥納刀とは認めません。理に適っていないからです。

抜刀と納刀は同じものであるべき

との古の教えがありますが、果たしてこの真意を知る居合家はどれほど居るのでしょうか?
その答えに関して、今回の記事には記しませんが、常に己が不利な状況下にあって納刀の稽古をしてみれば、自ずと答えは出てくるものです。

後半は私が創案編纂した組居合居業之部を一人で抜かせました。
この組居合居業之部、単独で抜かせてみると傍から見て何を稽古しているのかさっぱり解りません。そこがまた面白い。

一通り抜かせた後は二人一組で組居合立業之部を一通り稽古。
毎回門弟達に教えながら、自分自身新たな発見があるもので、日々修心流の術理は進化しています。

ちょっとした身体使いを意識するだけで、大きく業が活かされる様に門弟達も驚いていました。
たった二時間の稽古では物足りなさを感じる充実した稽古ができました。

敢えて無駄と思える動きを組み入れる

形稽古をさせてみると、どうも基礎ができていない。動きの意味を理解できていない者が多いように感じられる。
そのため最近、初伝形の初伝之抜での形に、一見無駄と思える動きを組み入れる事にしました。

大きく変更したのは抜付後の振りかぶりまでの所作。

その意味を動画で門弟に配信したところ、初めてその意味を知ったという者も…

特に各種連盟の居合などに見られるこの傾向。
実戦を想定していない独りよがりの演武思考によって発生している。

己の抜付が敵より確実に速く、一刀のもとで敵を切り伏せていたのなら、振りかぶりまでの所作はどんなものでも良いでしょう。
しかし、抜付を外されると同時に相手が抜刀し終わっていて、上段から振り下ろしてきたら??
連盟で教わる振りかぶり方では確実に己が死に至るか、或いは指や腕を切られること必須。

つまり、振りかぶりと振り下ろしの所作は受け流しの延長になければならないのです。
かと言って、諸手で振り下ろしてくる相手の刀を片手で受け流すにはそれ相応の技術が必要となります。
正しい形と所作を覚えれば、片手で諸手に対抗できることは、物理的にも可能。それを身につけさせるために敢えて動きを一つ加える。

古の英信流もひょっとすると私が指導するのと同じ形で稽古させていたのかもしれません。
それが出来て初めて全ての所作を片手で行う。
手順としても物理的にも理に適ったものと思います。

初伝居合形二本目『左敵』

無雙直傳英信流では単に『右』と呼称しますが、修心流居合術兵法では『左敵(さてき)』と呼称しています。

仮想敵との間合については一本目と同じです。

形手順
・左手首を前に出し、小指と薬指を太腿に添えたまま鯉口に手をかける。
・右手薬指の方向に指先を伸ばし、手首を反り返して肘を曲げ、柄に手をかける。
・膝を閉じ鞘を前に送りながら両膝立ちとなる。
・腰を落として軸をとりなおしつつ、左螺旋の動きにて身体で抜刀。
・前方に傾斜する身体の勢いを右足を立て、一気に切先に重さを乗せ、横一文字に斬る。狙う場所はこめかみ。
・一刀目をかわされ、敵が上段より切り下げてきても応じることができるよう、請流の形をとりながら真向に構える。
・右足半歩前に送り、身体を前に進めるその勢いと体重を載せて真向に切り下ろす。刀は切先下がらず水平であること。
・左手は鞘に、右手は弛み、切先より後方へ刀を送る。この時右腕は後ろに行かず、身体の真横にあるべきこと。
・右肘を支点に腕を曲げる。この時肘が下がらぬよう、また、刀の長さが前方から見えぬよう、鐔と腕にて覆い隠す。
・側頭部に鐔を当て、指先伸ばして敬礼が如き形をとり、大血振を行う。
・切先が下に落ちる反作用にて身体が浮き上がるが如く立ち上がる。この時左足を右足に寄せ、踵はつけ、つま先は概ね60度に開き、居合腰となる。刀の長さを見せぬ様、刃の方向は真横とするべし。
・寄せた足の反対の足を引くも、この時縦横どちらの方向にも軸を崩さぬよう下半身にて捌く。
・身体の中心より動き出し、切先は水平やや水流しの角度にてはばき上部分を左腕に載せ、身体捌きにて納刀。この時切先を見せぬよう。
・片膝をつきながら静かに納刀。後ろ足を前足に揃え、臍前に鐔くるを、柄に右手の五指を載せ、肘伸びる方向へ腕を伸ばし、柄頭を親指で押さえ、柄頭が臍前に来るよう元に戻す。
・居合を解き、手は両股関節上に添える。

ざっと箇条書きしましたが、肝心な部分は文字表現もしておりません。
何分秘匿主義なものですからご容赦ください。