成家
無銘(成家)
– Mumei (Nariie) –
 
成家は小反り派に分類される備前の刀工で、一説に光忠の弟である景秀の孫とも伝えられます。銘鑑によれば文和・康安・応安・永和・永徳の年紀が確認されており、また、作風及び銘字などから、兼光との関係も窺えると本間薫山先生は記しておられます。
彼の技術は同年代の兼光一門の政光に比して優るとも劣らぬもので、互の目や湾れ交じりの乱れ刃を多く焼いています。
 
この刀は小板目杢交じりの肌がよく練れて少しく肌立って淡い乱れ映りを見せ、刃文は直刃基調に小互の目交じり、小足入り、匂口締まりごころに小沸付き、葉や細かな砂流を交え、金筋入り、鋩子は直ぐ調に先丸く返っています。
素人による耐水ペーパーでの錆落としが見られるので、再研磨の必要はございますが、急いで諸工作されずとも、現状でも地刃の鑑賞はお楽しみ頂けます。
いずれ研磨を施し、特保同時審査を御受審頂き、本刀をお客様の手によって出世させて下さい。
 
裸身重量774グラム。

無銘(法華) ~南北朝末期~

無銘(法華)
無銘(法華)
– Mumei (Hokke) –
 
鎌備後国法華とは、三原派とは別系の備後国葦田郡の国分寺跡に於いて鍛刀した一派を指し、その祖を助国と伝え、日蓮宗の信者に支持されていたとも云われています。 現在の鑑定基準として、法華極めの無銘物は、南北朝~室町初期にかけての作とされています。
 
この刀は総体に淡く映りが立ち、匂口沈みごころの直刃調小乱れを焼いた作品。鎬に彫られた二本樋の棟側チリが幅広く、これもまた本刀の特徴の一つと言えるでしょう。
600有余年の長き月日を生きてきた本刀を手に、遥かなる歴史浪漫をお楽しみ下さい。
 
裸身重量555グラム。