両鎬造素槍 越前守國次

両鎬造素槍 越前守國次

越前守國次
– Echizen no kami Kunitsugu –
https://nihontou.jp/choice03/toukenkobugu/nagae/045/00.html

出羽大掾國路門。國路の子或いは門人と言う。寛永11年8月頃、江戸に駐槌。寛永14年迄に越前大掾を受領。後年越前守に転任し、晩年は肥後熊本に移り住み、肥後の林又七に鍛錬の秘奥を伝授したと伝えられ、國路との合作も見られます。

この槍は両鎬造でケラ首は円形。表に細く短目の樋を丈比べの如く互い違いに掻き、裏は短く太目の樋を腰寄りに掻いていおり、形状は刃線を軽く絞って先を張らせ、フクラ豊かに、なんとも言えぬ曲線美を織りなしています。
地鉄は柾気が強い小板目がよく練れて少しく肌立ち、堀川系であることを物語り、刃文は直刃基調に刃縁に砂流が見られ、解れ風の刃を伴い、鋩子は直ぐ焼き上げられ、真面目な研磨が施されているので、見た目にもスキッとした名槍です。
ケラ首下部15.5ミリ。茎長さ約29.85センチ。

裸身重量130グラム。

とある日の町井勲 ~美術刀剣 刀心スタッフS君の目線から~

現在、美術刀剣 刀心の業務を手伝ってくれているS君が、昨日の私の業務?の様子を動画にしてくれましたので紹介させていただきます。

長編のため、二倍速にて編集してあります。

於土州依秀方望左行秀淬刃之 慶應二年八月吉日

於土州依秀方望左行秀淬刃之 慶應二年八月吉日
於土州依秀方望左行秀淬刃之 慶應二年八月吉日
– Oite Doshu Hidemasa no nozominiyori Sa no Yukihide kore wo Saijin –
 
本歌の左行秀に見紛う程に良く鍛えられた大身槍。
明治以降になってから、左行秀に私淑した刀工によって鍛えられた写しものと思われます。
 
本作を鍛え上げるにあたっては、さぞかし苦労したことであろうと想像されます。強い沸を出すために、高い温度で焼き上げるには、一歩火加減を間違えると地鉄が割れる危険を伴います。いくつも作品をダメにしながら、ようやく辿り着いた左行秀に迫る出来口。
 
柾目主体に刃縁に杢目を交え、地景入り、焼刃明るく冴え、総体に砂流や金筋が見事に現れ、刃中の杢目に絡んで複雑な働きを見せ、躍動感に溢れる激しい出来口は見事の一言に尽き、丁寧な仕事がされた上研磨が、本作の良さをしっかりと引き出しています。
 
銘に関しては首肯しかねるものの、無銘大身槍として考えても、これだけの出来ですから表示価格はけしてお高くございません。むしろお安いはずです。
「真に迫った出来口を示す名槍だ」と、本槍の真価を是非とも共有下さる方にお譲りしたく思います。
 
裸身重量710グラム。