無銘(兼春)
– Mumei(Kaneharu) –
http://nihontou.jp/choice03/toukenkobugu/wakizashi/406/00.html
同地同銘工が室町中期から江戸中期の元禄まで栄えた兼春。中でも最も名高いのは三阿弥派で兼行の子である四郎兼春で、利刀として当時から定評は高く、様々な様(ためし)を行って位付けが行われた江戸時代に於いては、大業物として兼春の名は轟きました。
この脇指は長寸であった打刀を大きく磨り上げて刃長を二尺に仕立て直したもので、太平の世であった江戸時代、上士の指料に多くこの寸法のものが見受けられます。
出来口としては美濃伝らしく、刃縁と鎬地に柾目が強く現れた杢目肌で、地鉄はよく練れており、地景入る。特に大杢目に絡む地景が興味深く、刃文は互ノ目乱れで匂口深く、刃中よく沸え、長い足が頻りに入り、刃中は柾目が顕著に現れて砂流を形成するなど、賑やかにして大業物たる刃味の鋭さを感じさせます。
現状では一部に薄錆も見受けられますが、地刃の御鑑賞には支障ございません。
※尺計算しますと二尺を僅かに切っているため、脇指として御紹介しておりますが、登録証と認定書上では刀と記載されております。
裸身重量572グラム。