先日、武用将平刀をお求めになるにあたり、刀剣を下取りに出されたお客様にお電話差し上げました。
そのお客様から刀剣をお譲り頂いたのは約一年前のことになります。
雲霞食べて生きているわけではないので、私も利幅を乗せて販売するわけですが、お譲り頂いた刀剣は特別保存刀剣鑑定に合格しました。
当然ながら出世したので売価もそれなりに高額になります。
買い取った価格とは大きな開きが出るわけで、それが申し訳なく、お客様に一言お詫びしようと思い立った次第です。
上記刀剣の出世をお話したところ、お叱りを受けるでもなく、逆に感謝して頂けました。
「特保にしていただけたんですね。それは良かった。刀が出世できた。私のことは本当に気にされなくて結構です。刀に見合った価格をつけてあげてください。」
電話口でお客様は嬉しそうにそう仰いました。
このお客様、人気ブロガーである渓流詩人さんからも、とても男気があって尊敬できる人だとはうかがっていたのですが、久し振りに気持ちが良いお客様の気風に出逢えた事がとても嬉しく、このたびこの記事にしたためた次第です。
刀剣趣味人としてこれほど刀想いの方にはなかなか出会えないもの。出世させるのに時間と労力、経費を掛けるとは言え、普通ですととかく損得勘定が前面に出てしまい、嫉妬や恨みを買ってしまうものなのですが、手放された刀の出世を心の底から喜んで下さる方はそうそう居りません。
つい先日、値切ることを当たり前、表記価格より安く売るのが普通だろうなどと無粋なことを言う人に遭遇したばかりなので、事の外今回のお客様のお言葉は、私の胸を熱くしました。
損得勘定無しで本当に刀剣を愛する人。この素敵な出逢いに感謝の念が絶えません。
本当にありがとうございます。