水心子正秀(刻印) 文化五年二月日 ~製作当時のままの貴重な拵~

水心子正秀

水心子正秀(刻印) 文化五年二月日
– Suishinshi Masahide –
 
水心子正秀は寛延三年羽前に生まれ、後に武州下原派の後裔である吉英に師事して鍛刀の技を修めました。初銘を「宅英」または「英国」と切り、安永三年には山形秋元家の抱え工となって、名を正秀に改めました。文政元年には息子の貞秀に正秀の号を譲って天秀と改銘し、晩年には刀剣復古論を唱えて「刀剣武用論」「刀剣弁疑」等多くの著書を刊行するなど、新々刀期における一大教育者として幾多の門弟達を養成しており、大慶直胤、細川正義などの名工を門下に輩出させた新々刀期屈指の名工として知られています。
 
この脇指は士の大小に相応しい中脇指で、姿凛として程好い反りがつき、小板目鍛えの地鉄には判然と直ぐ映りが現れ、匂口締まった直刃を上品に焼き上げています。
 
附属の拵は、鞘の漆に経年による皹があるも、金着せの定紋はばきに、金着の切羽が装着されるなど、贅沢な仕様であり、小柄も失われることなく附属していることが好ましく、高禄の士が所有していたことが窺えます。はばきに刻まれた北条鱗と呼ばれる三つ鱗紋と横木文字紋から、この脇指の出自を調べてみるのも一興です。
 
この脇指は未鑑定です。水心子正秀は三代続いおりますので、むげに偽銘と決めつけず、一度保存刀剣鑑を御受審なさってみるのもよいかと思います。つきましては現状、真贋保証無しでの御案内とさせていただきます。
 
裸身重量359グラム。  拵に納めて鞘を払った重量530グラム。

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