備州長船経家 永享八年八月日 ~豪華な入子鞘の拵付き~

備州長船経家 永享八年八月日 ~豪華な入子鞘の拵付き~
備州長船経家 永享八年八月日
– Bishu Osafune Tsuneie –
 
小反(こぞり)派とは一般的に兼光等の長船正系に属さない長船刀工の総称で、経家はその小反派に分類され、南北朝中期応安頃に活躍した経家を初代とし、室町中期永正頃に活躍した五代迄が確認されています。
 
この短刀は室町前期永享頃に活躍した三代経家による作で、永享八年の年紀が銘切られており、希少価値も高い。先の方で僅かに内反りとなった短刀姿は好ましく、棟は庵棟とし、地鉄は杢目が緻密に練られて詰み、少しく肌立ち、総体に黒味を帯び、直ぐ映り判然と現れています。刃文は古雅な細直刃を匂口明るく焼き上げており、非常に趣ある出来口を誇っています。
 
附属の拵は蝋塗の鞘に二葉葵が蒔絵されており、縁頭と鐔は愛らしい雀の図で統一され、蓮を模った栗形には蛙がちょこんと佇み、小柄櫃の瓦には中島春英在銘の老桜の見事な姿彫の金具が用いられ、はばきは銀無垢の金鍍金仕上、切羽は金着。何よりも眼を惹かれるのは入子鞘になっていること。非常に格式が高く、徳川家の姻戚関係や本多家や加茂氏由縁の蔵刀であったであろうことが容易に想像できる名品です。
 
裸身重量155グラム。  拵に納めて鞘を払った重量327グラム。

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