八十三翁菅原包則

八十三翁菅原包則
– Sugawara Kanenori –
 
 
本名、宮本志賀彦。天保元年8月25日、伯耆国武田村大柿(現:鳥取県-倉吉市大柿)の造り酒屋を営む旧家に生まれ、嘉永4年22才で刀工を志し、備前長船横山祐包の下で備前伝の鍛刀を学びました。安政4年、因幡藩倉吉の家老、荒尾志摩の抱工となり、さらに文久3年、京都有栖川熾仁親王の信任を得て、孝明天皇の御剣を鍛造し、慶応2年37才で能登守を受領しました。
その後も明伊勢神宮の宝剣・鉾・鏃など多数を精鍛し、明治39年4月に月山貞一と共に帝室技芸員(人間国宝)の栄職を得て専ら皇室の刀剣類を謹鍛しま、大正15年10月24日97才の高齢で没するまで、鳥取、倉吉、京都、東京等各地で鍛刀し活躍しました。
 
この短刀は、刃長五寸と短く、附属する拵からも察することができるように、女性用懐剣として鍛えられた一刀。白鞘を見ると「昭和二十年四月十六日 長女久子へ」と鞘書きがあり、長女の誕生を祝ってか、或いは長女の嫁入り時に贈り持参させたのか、いずれにせよ父母から娘への愛がひしひしと感じられる一刀で、鞘には枝菊が闇蒔絵にてあしらわれており、相当な費用をかけて造られた様子も窺えます。
刃長の割に茎が長く感じられ、元からすっと切先に結んだ鋭さを感じさせる姿で、地鉄は小板目よく練れて地沸付き、地景入って精美。刃文は匂口明るく冴えた湾れ調子の互ノ目乱れで、盛んに沸付くも、匂口には柔らかさが感じられ、刃中には足や細かな砂流が看取され、突き上げた感じで返りを深く焼き下げています。
 
裸身重量91グラム。  拵に納めて鞘を払った重量112グラム。
 
 
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