皆様、新年明けましておめでとうございます。
さて、本日放送を御覧下さった皆様、貴重なお時間を番組視聴に充てて頂きまして心より感謝申し上げます。
明鏡止水という番組は、武術が大好きな制作スタッフにより、ヤラセ無しの本気の収録が行われている番組です。
今回は弓馬の道と居合がテーマで、色々と番組の企画も盛りだくさんだったのですが、なにぶん武術好きが集まって制作している都合上、話に華が咲き、とめどなく収録時間が押します。
当初は使える刀と使えない刀の選別法に関しても、MCやゲストの皆さんが、実際に並べられた真剣を手にしながら選んでもらう内容だったのですが、上述の通り収録時間が押しまくり、また、私と柳原が最終の新幹線でどうしてもその日に帰宅しなければいけなかったのと、居合の収録が当日一番最後だったせいもあって、かなり端折って集約しての撮影となってしまったことが悔やまれますが、また出演の機会を与えて頂けるようでしたら、その時に改めて居合道と居合術の違い、刀とはどのように使うのが本来の姿なのか等、ご説明させていただければと考えております。
今回の収録では時間の都合上、撮り直しは一切無く、そのため徳山先生による鉄板の射抜きに関しても、本番独特の雰囲気の中、緊張からでしょうか、御本人にとっても不本意な物になってしまわれましたが、事前に行われたリハーサルでは見事にど真ん中を射抜かれ、射抜いた鉄板の枚数も本番より多く、現場に居合わせた者皆が「おーっ」と感嘆の声を漏らしたほどです。
一方、私の方もリハーサルでは気持ち良く1本の畳表仮標を四太刀据斬りして見せたのに、いざ本番では失敗してしまい、更に魔裟斗さんとの対座では、御覧頂いた通り、見事に刀(木刀)を奪い取られてしまいました。
常日頃実戦を謳っている身ですから、本当にお恥ずかしい醜態を皆様にお披露目してしまったわけですが、魔裟斗さんに一瞬視線を逸らされた時に、思わず「何?」と気が緩んだ瞬間の出来事、また、魔裟斗さんがこれまで試合で培ってこられた速さも見事なもので、油断してしまった私の完敗でした。
実はあの形、対座する者は右手で刀を奪い取りに来ると言う想定ですから、これまで左手で攻められた場合の稽古をしたことがありませんでした。故にいつもなら容易く対応して外すことができたものが、勝手の違いから対応が遅れ気味になってしまった次第です。
こうして言葉を綴っていると、単なる言い訳にしか聴こえないかもしれませんが、恥ずかしいとか悔しいと言った気持ちは無く、『相手は右手で刀を取りに来る』という既成概念を払拭でき、敵は予想の斜め上を行くものだと改めて認識できたことが、私にとって何よりもの収穫であり、更なる高みを求め、新たな稽古目標が出来たことを非常に嬉しく思っております。
これからも回を重ねていくであろう『明鏡止水』。槍術をはじめ、まだまだ取り上げるテーマは多いかと思います。それぞれの分野の本物の達人による解説等、今後も目が離せない番組ですね。
番組収録後、日置當流の徳山陽介先生と、使用する道具を大切に扱うことや、道具を育てていくという点で意気投合。
やはり達人というのは道具に対する心構えからして異なりますね。しみじみ実感致しました。
番組をきっかけに、こうして交流が広がるのは本当に嬉しいですね。
『明鏡止水』という素敵な番組に出演できたこと、武術を愛する素敵な方々と出逢えたことを心から嬉しく思います。