於土州依秀方望左行秀淬刃之 慶應二年八月吉日

於土州依秀方望左行秀淬刃之 慶應二年八月吉日
於土州依秀方望左行秀淬刃之 慶應二年八月吉日
– Oite Doshu Hidemasa no nozominiyori Sa no Yukihide kore wo Saijin –
 
本歌の左行秀に見紛う程に良く鍛えられた大身槍。
明治以降になってから、左行秀に私淑した刀工によって鍛えられた写しものと思われます。
 
本作を鍛え上げるにあたっては、さぞかし苦労したことであろうと想像されます。強い沸を出すために、高い温度で焼き上げるには、一歩火加減を間違えると地鉄が割れる危険を伴います。いくつも作品をダメにしながら、ようやく辿り着いた左行秀に迫る出来口。
 
柾目主体に刃縁に杢目を交え、地景入り、焼刃明るく冴え、総体に砂流や金筋が見事に現れ、刃中の杢目に絡んで複雑な働きを見せ、躍動感に溢れる激しい出来口は見事の一言に尽き、丁寧な仕事がされた上研磨が、本作の良さをしっかりと引き出しています。
 
銘に関しては首肯しかねるものの、無銘大身槍として考えても、これだけの出来ですから表示価格はけしてお高くございません。むしろお安いはずです。
「真に迫った出来口を示す名槍だ」と、本槍の真価を是非とも共有下さる方にお譲りしたく思います。
 
裸身重量710グラム。