立子山住人将平作 平成二十六年夏 ~町井勲監修 武用拵入り~

立子山住人将平作 平成二十六年夏
立子山住人将平作 平成二十六年夏
– Tatsugoyama junin Masahira saku –
 
古刀再現の第一人者として、また、鉄をも裁断する利刀を鍛えることでもその名が高い名工藤安将平。当店々主である町井勲とタッグを組み、真の実用兼美の名刀造りに今も勤しんでいます。
 
この刀が研ぎ上がり、初めて鞘から抜き放った瞬間、「研ぎあがったものは現代刀のはずなのに?」と、一瞬眼を疑った程、地刃の出来は古刀にしか見えませんでした。
小板目柾流れの地鉄は黒味を帯び、淡く映りが立っています。匂口はふんわりと柔らかい感じの小乱れで、金筋が随所に見られます。
藤安将平刀匠は、現在古備前の再現を目指して作刀していますが、この刀は庄内藩家老、菅実秀の来国俊を写してみようと取り組んだ作品。「古調な低い小乱れを総体に焼けたことには満足だが、匂口をもう少し締まったものになるよう、次の作品にこの刀の作刀経験を活かしたい」と将平刀匠談。
確かに来国俊の作風とは匂口が異なるも、本刀の鎌倉期然とした出来口にはただただ脱帽。
 
町井勲監修にて拵を新調しました。正直ここまでコストをかけて拵を作るのであれば、金具も全て時代物を用いれば良かったと、少々後悔の念もありますが、柄には微塵の捩れも無く、刀身と柄との芯もしっかりと出してあります。裏革にて捻り巻きにした手に馴染む柄巻きや、鞘引きの速度を増す乾漆石目鞘など、町井勲の武への拘りを顕した拵になっています。鮫は親粒を用いた腹合着(一枚巻き)、切羽はこの刀のためだけに造った銀無垢切羽で、鐔を外した状態で装着すると、ピタリと鐔の位置で止る拘り様です。はばきには御購入された方がお好みで鑢目や家紋を彫刻することができるよう、表裏を磨き仕上げにしております。
 
尚、本刀には古刀然とした小疵も含まれますが、将平師曰く「やっていることが古刀の再現であって、疵が無い綺麗な刀の鍛錬ではありません。疵が無い美術観賞用将平刀は偽物だと思ってください。」とのこと。物打やや下に極小の刃絡みが見られますことをご承知おき下さい。
 
裸身重量755グラム。  拵に納めて鞘を払った重量1,009グラム。

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