Panasonic shaver with Isao Machii

パナソニック ラムダッシュ動画、ショートバージョンのご紹介です。

研磨

またまた納期が無い仕事に追われている…
打卸刀身を27日の7時までに改正まで二振仕上げなければならない…
今日と明日は東京出張…
こりゃ26日は帰宅そうそう徹夜で研磨決定ですな…(涙

ようやく改正をかけ始めた刀
日本刀研磨

日本刀研磨

日本刀研磨

お電話でのお問い合わせは極力ご遠慮下さい

ここのところ、模擬刀や畳表に関するお問い合わせの電話を頂戴する機会が多くなりました。

大変勝手ながらお電話でのお問い合わせはご遠慮頂き、メールでお問い合わせいただきますようお願いいたします。

美術刀剣 刀心は私一人で切り盛りしており、従業員等は一人もおりません。ですからお電話を頂戴しますと、その都度他の作業の手を止められてしまうのです。

私は気分で仕事をする傾向にありまして、調子良く研磨作業をしている最中に電話で仕事を中断させられるのが本当に苦手なのです。電話が終った後にはもう研磨する気持ちも気力も失せてしまうことが多いのです。勿論私個人の問題ですので、この傾向は宜しくないことは承知しておりますが、皆様には御協力いただきたくお願い申し上げます。

真剣に関する御相談も、お急ぎでなければ極力メールでお問い合わせ下さい。

買取等に関するお問い合わせはいつでもお気軽にお電話下さって結構です。

将平鍛刀場での研磨作業

24日から4日間、福島県にある藤安将平刀匠の鍛刀場で研磨作業に勤しんでおりました。

長男を一週間程将平刀匠に預けており、藤安先生に御迷惑をおかけしてはいないか、その様子を見るためでした。

何かと忙しく、数日も留守にすることは手痛かったのですが、とりあえず藤安先生のお宅でもできる作業をと、今回は砥石と打卸刀身4振を持参。

1日1振を目標に金剛砥120番での下地研磨を開始。

 

10月25日 1振目の下地完成。

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10月26日 2振目の下地研磨完成。

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10月26日 3振目の下地を開始するも、なかなか思うようにはかどらない。

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明けて27日午前3:30頃、ようやく3振目の下地完成。

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因みにこちら↓が研磨途中の3振目。上の写真と比較して頂ければ、研磨工程がよくお解かりいただけるかと思います。

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更に4振目を手がけ、明けて28日午前5:30頃、ようやく4振目の下地研磨完成。

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今回の研磨作業で出た砥石の屑。真新しい砥石を持っていったのですが、大きさは三分の二ほどになっていました。

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全てのノルマをこなし、28日午前10:00頃、藤安先生のお車を私が運転して、夜10:00兵庫の自宅に到着。

ハードな数日を過ごして帰ってきた私に待っていたのは、鬼のようにたまっているメールと仕事の数々…

当分たまっていた仕事をこなすのに忙しくなりそうです。

金剛砥120番の時点で下地を決める

金剛砥120番での下地研磨

120番の荒い砥石でここまで横手を立てる研師は少ないと思う。
下手すると取り返しがつかなくなるので、大抵の研師は細かい砥石になってから横手を決める。
腕に自信がなければここまではできない。
日本刀研磨は仕上げよりも下地が一番大事‼️

刀の顔 切先(帽子)

刀の切先(帽子とも言う)は刀の顔と言える。
如何に凜とさせるかで刀の印象はまるきり変わる。
三ツ頭が無く、横手を筋切りだけで描いているものは、名刀利刀であっても鈍刀のように映る。
キッチリと鎬が真っ直ぐに、そしてそこから角度を変えて小鎬が延び、下地から横手が立っている切先は、鈍刀と言えど名刀に映るものである。
私は八人の子供達を養い、居合教授やテレビ等の収録に携わる立場上、刀剣研磨に勤しむ時間を割くことができない。
ましてや研磨修業時代に手を抜くことを教わらなかった私は、結局のところどんな依頼を受けても上研磨の下地を施してしまうので割りに合わないのだ。

そんな私が刀を自ら研ぐ時と言えば、どうしても私の研ぎでなければと御所望下さるお客様や、門弟、極々親しい友人や知人、そして急な収録に研磨を間に合わせる時である。

昨夜は久し振りに打卸の刀の下地研磨をした。
打卸は刃付けから行わなければならないため、金剛砥石の減りが早い上に作業も大変手間がかかる。
現在武用将平刀は人気が高く、多くの受注を抱えているが、研磨が全く間に合わず、予定納期が大幅に遅れている。
お待ちいただいているお客様には大変申し訳なく、なんとか一日でも早くお納めできるようにと、本来なら私は一切手をつけないところを手がけた次第。
ある意味該当刀剣のお客様にとってはラッキーだと思う。居合用研磨や観賞用並研磨の料金で、上研磨の下地処理が行われるのだから。
ただ、町井家にとってはとても大きな痛手。刀を研磨する時間を、1000点を越える在庫刀剣の写真撮影に費やした方が、町井家が生活して行く上に於いては断然良いからだ。

さて、話が少し逸れたが、私は金剛砥#120番の極めて粗い段階から横手を立てる。
研磨修業時代には“横手の町井”の異名をとる研師を目指していたものだ。
何気に写真を撮ったので御紹介しよう。

以前公開したかもしれないが、私の研磨仕事場はイナバの物置の中である。
夏の今頃は天然のサウナ、冬は極寒の冷蔵庫と化す。とても仕事場としては向いていない。
本当は自宅内に研ぎ場を構えたいのだが、毎日研磨するわけでもない上に、子供が多く家が手狭であるため、悲しいかなイナバの物置に研ぎ舟を構えなければならなかった。
2ヶ月程前、町井家向かって左隣奥の隣家が売りに出たのを購入できていれば、写真撮影にも、日本刀研磨にも、適した仕事場が造れたのだが、生憎と売りに出たのを知ったのは先客がついてからだった。
先客はまだ契約を済ませていなかったため、事情を説明し、100万の謝礼をするので私達家族に譲ってもらえないかと何度も打診したが、その声も虚しく先客は私達家族の事情を知りながら隣家の購入を強行した。
故に私は隣家に越してきた一家とは一切付き合いをしないことに決めた。私が先客の立場であったなら、今後の隣近所の付き合いを考え、他の物件を探すことを選んだだろう。何故なら同じような条件であれば、別に他の土地家屋でも良いからだ。隣家が隣地を求めるのは、隣地だからこそであり、隣地はそこしかないのだから。仮に譲らず購入に踏み切るにしても、その土地を欲しがっている隣家の家族としっかり話し合い、お互いが納得して気持ちよく今後の近所づきあいができるように計らってから購入に至る。
そんなこんなで作業場を移すことができず、イナバの物置の中で昨夜は蒸し暑さを感じながら研磨作業に勤しんだ。

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これは刃筋が捩れぬ様表裏から急刃を付け、うぶ刃を残して横手下まで刃を付けた状態。鎬地と物打までは粗砥での下地を終えている。

表題の切先を見てみよう。

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フクラの刃線がところどころ節立って見えるだろうが、これは打卸の姿そのままの状態で帽子の中を研いでいる。私は先に形を整えるのではなく、研磨を施しながら自然と刃線を整える手法をとっている。先に刃線を整える方法もあるが、それでは焼きなましが弱く、刃先がポロつく現象が起きたとき、姿を損なってしまう。刃線が少々凸凹であっても、肉を整えているうちに刃先が返り、それが自然と外れて刃線を整える方が何かと修正が効き易い。刃付と肉置き処理の段階でポロつきが出たら、作業を中断し、将平、将大両刀匠にすぐに焼きなましの作業をして頂いている。
これが私が営む美術刀剣 刀心の将平将大武用刀が良く斬れ、粘りがあると定評を生んでいる。

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帽子の中と物打から横手までの肉置きを整えた状態。横手から上はまだうぶ刃状態で、刃の厚みは0.5ミリ程残っている。指裏の帽子の肉を整えながら研磨することで、刃線は理想的な円弧を描く姿となる。
この横手を立てる作業にやっけになる下手な研師は、横手上と横手下の肉をえぐる傾向が強い。当然のことながら横手を境に上下の肉がえぐれているのだから、一見横手は凜と立って理想的なものになっているように映るが、これは美術観賞用研磨としても、武用研磨としても全く宜しくない。実用に於いては弱くなると言っても過言ではなく、それでは刀が刀ではなくなるのだ。
横手を立てることに必死になり、無駄にフクラを枯らす研師もいる。横手上のフクラが直線的なものがその類。いくら横手が凜と立っていようが刀の寿命を縮めてしまっている。
横手は立てるものではなく、自然と立つように研磨するものだと私は考えている。
この写真では横手が既に立っているのが光線の加減で判りにくいだろうが、判る人が見れば理想的な肉置きのもとで横手が立ち、小鎬も立っていることが看破できる。

光線を変えて別角度から見てみよう。

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横手が定規で線を引いたかのように真っ直ぐに立っているのがお判りいただけよう。ベタッと平面に研いで横手を立てていないことは、豊かについている刃肉や平肉からも判別できる。
横手を立てる作業に多くの時間は費やさない。横手を立てるのが目的ではなく、地と刃の肉置きを整えるのが目的なので、気付けばこのような状態になっているのである。

試斬重視の抜刀をする人が、畳表がよく切れる様に、平肉と刃肉を削いで剃刀のようにしてくれ等と注文されるようだが、刀は刀であって剃刀ではない。人を斬る道具である。骨等の硬い部分に刃が当っても、刃が負けぬように肉を持たすのが本来の日本刀研磨。肉が豊かについていても切れる刀は切れる。それは表裏の下地をしっかりと整え、入念に刃と平地に内曇をかけることで刃味が増すからである。切れる刀が欲しいなら、研磨代をケチらず上研ぎの白研ぎ(#1000または内曇を引いたまでの状態)を依頼すべき。
ここのところをしっかりと理解できていない人ほど、広い身幅や重量に頼り、肉を削いだ研ぎを好むのである。もはや刀でも、武でもなんでもない。