無銘(新々刀波平) ~水軍、海軍、海運業関係者に愛されてきた一刀~

無銘(新々刀波平)

– Mumei(Shinshinto Naminohira) –
 
薩摩国での刀工の始祖は、平安時代永延(987~988)頃の大和の刀工『正国』が薩摩に移住したのが始まりと伝えられ、鎌倉時代の中期以降は代々『行安』が波平系の氏族を取りまとめる長となって、中世の鎌倉、南北朝そして室町時代、さらには新刀期まで繁栄しました。作風の特徴は大和伝を踏襲しながらも「綾杉肌」を鍛えることでも知られており、古来より平らな波と縁起を担ぎ、水軍や海軍、海運業に携わる方々に愛されてきました。
 
この刀は中央より下から強く反り、切先延びた鋭い造り込み。地鉄よく練れて詰み、地沸が厚く付いて梨地状の精美さを見せ、小沸本位の湾れ調互ノ目乱れを匂口明るく焼いた作品で、刃中足よく入り、砂流が見られ、薩摩新刀上工の作に迫る出来口を示しており、そのためか銘を潰され現在は無銘になっていることが惜しまれる一刀です。
 
裸身重量768グラム。

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