摂津守忠行 ~見事な半太刀拵~

摂津守忠行 ~見事な半太刀拵~
摂津守忠行
– Settsunokami Tadayuki –
http://nihontou.jp/choice03/toukenkobugu/wakizashi/383/00.html

忠行は大阪新刀を代表する名工、一竿子忠綱の弟で、兄忠綱の代作を務めた関係から自身銘の作品が少ないと言われています。四代まで続いており、代別は困難とされています。

この脇指は無鑑で銘の真贋については判りかねますが、中心尻が角ばる作品が多く経眼されるため、丸みを帯びた本刀は少し気になるところです。
地鉄は小板目柾流れて糟立った感じで、匂口明るく冴えた互ノ目を焼き、刃中随所に砂流が顕著に見られます。

附属の半太刀拵は、柊の葉を模した柏葉金具と石突金具が印象的で、落ち着き在る赤銅石目地に金の縁取りの一作金具に、金着せの菊花刻み切羽。赤銅磨地に金縁取りの鐔等、上士の指料であることは拵の豪華さからも一目瞭然。獅子図の目貫に獅子図小柄と、図柄も揃えられています。
柄巻は経年による劣化のため痛んでいますので、本拵を活かすためにも上巻きをご検討下さい。拵だけでも独り歩きできる名拵ですので、保存刀装の審査を是非とも御受審下さい。

裸身重量340グラム。  拵に納めて鞘を払った重量605グラム。

甲斐國住和雄作 平成八年十一月吉日 ~居合、試斬、観賞用、いずれにも最適な一刀~

甲斐國住和雄作 平成八年十一月吉日 ~居合、試斬、観賞用、いずれにも最適な一刀~
甲斐國住和雄作 平成八年十一月吉日
– Kainokuni ju Kazuo saku –
http://nihontou.jp/choice03/toukenkobugu/katana/697/00.html

本名山本和雄.。山梨県甲府市大里町在住。

小板目肌良く練れて詰んだ精美な地鉄に、匂口明るく冴えた互ノ目丁子乱れを焼いた作品。足と葉が繋がって玉を並べたかの如き丁子乱れが見事です。
美術鑑賞刀として丹精込めて鍛えられた一刀で、研磨も上研磨が施されており、鎬や小鎬等が凜と立っており、見るからに清々しさを感じさせます。

附属の拵は気が利いた現代金具を用いて製作されており、親鮫を腹合着せ(一枚巻き)にした本格的な拵に仕上げられています。

裸身重量922グラム。  拵に納めて鞘を払った重量1,021グラム。

肥前國忠次 應需大戸日出男先生昭和庚申年七月日 ~刃味鋭い元軍受命刀工の作~

肥前國忠次 應需大戸日出男先生昭和庚申年七月日 ~刃味鋭い元軍受命刀工の作~
肥前國忠次 應需大戸日出男先生昭和庚申年七月日
– Mumei –
http://nihontou.jp/choice03/toukenkobugu/katana/696/00.html

本名中尾三治郎。明治43年5月1日生。桜井正次門。戦時中は軍の受命刀工として上級士官のための軍刀製作に励みました。刃味良く、軍刀展(コンクール)においては、数多の受命刀工の中でも第一席(国工)を獲得しています。

小板目肌良く練れて詰んだ精美な地鉄に、匂口明るく冴えた直刃を焼いた、美術鑑賞刀としても出来頗る良い一刀ですが、元の所有者である大戸氏以降、余程下手な者の居合稽古刀として使用されたため、無数のヒケ、錆、刃先の小さな刃捲れなど、現状のコンディションは宜しくありません。
当店にやってきた際には鞘も割れ、折角の本漆雲塗の見事な鞘も見る影がない状態でしたので、当店にて鞘を補修。茶の蝋塗で塗り直し、再び居合や抜刀のお稽古にご使用頂けるようにしました。

只今研磨作業が大変立て込んでおります都合上、研磨を施さず現状のまま御案内致します。美術鑑賞刀としても価値在る一刀ですので、是非とも上研磨を施し、本刀に光を与えて下さい。
試斬・抜刀にお使いになられる方は、寝刃合わせも承っておりますので、お気軽にご用命下さい。

附属の拵は桜の花弁を銀象嵌した肥後一作金具で、鐔以外は全て時代物の真面目な金具が使用されており、革の柄巻も居合用ではなく、観賞用の上巻きがなされています。

裸身重量873グラム。  拵に納めて鞘を払った重量1,074グラム。

無銘 ~居合に最適な二尺四寸拵入り~

無銘 ~居合に最適な二尺四寸拵入り~
無銘
– Mumei –
http://nihontou.jp/choice03/toukenkobugu/katana/695/00.html

二尺四寸を越える頃合な刃長で手持ちも良い刀です。
杢目鍛えに刃縁が柾がかり、匂口は明るく冴え、刃縁に荒沸が付き、解れや食い違い刃、一際太い金筋や砂流が顕著に見られ、変化に富んだ出来口です。
指表に腰樋を掻くも、はばき下の留めが剣形となった独特な彫りが印象深く、製作年代を江戸前期としましたが、新古境辺りかもしれません。

古研ぎの現状のまま存分に居合の稽古にお使い頂いた後は、是非とも美術研磨を施し、保存刀剣鑑定を御受審下さい。

裸身重量683グラム。  拵に納めて鞘を払った重量950グラム。

兼則 昭和十八年十月 ~陸軍耐錆鋼刀~

兼則 昭和十八年十月 ~陸軍耐錆鋼刀~
兼則 昭和十八年十月
– Kanenori –
http://nihontou.jp/choice03/toukenkobugu/katana/694/00.html

過酷な前線に携行される日本刀は錆に悩まされた。その為、軍刀の手入れ法に関する指導書が、刀剣専門家と称する人により出版されている。然し、敵と対峙する戦闘行動下で、軍刀手入れの時間的余裕がある筈がない。床の間に飾られた鑑賞用日本刀の感覚で軍刀の手入れ法を説く銃後の斯界(しかい)の関係者の感覚自体が、所詮(しょせん)ナンセンスであった。こうした状況を反映して「錆ない軍刀」が求められるのは必然の成り行きだった。成瀬氏の記述にも「流行のステンレス刀(銘:兼永)」との記述があることから、かなり普及していたことが実証される。海上の塩害に晒される海軍では、更に問題は深刻だった。

陸軍呼称: 耐錆鋼刀
炭素鋼の日本刀とステンレス刀の切味比較の論評があるが、軍刀の使用環境すら念頭にない幼児の戯言である。本来、劣悪な環境で使う実用刀にとって、刀身の錆は切味などを論じる以前の深刻な問題である。雨や塩害で直ぐに錆びる日本刀と、防錆手入れ不用のステンレス刀のどちらが実用的かがハッキリしていた。切味等は二の次、三の次ぎの問題だった。陸軍は、劣悪な前線環境での日本刀の錆や血刀の錆に悩まされた。こうした背景からステンレス刀が普及した。ステンレスとは、錆難い (Stainless) 鋼 (Steel) のことで、普通炭素鋼にクロム(Cr)やニッケル(Ni)を含有させた合金である。一般的には、クロムを約11%以上含有させた鋼をステンレス鋼と定義する。これは、クロムが約11%以上になると、錆難さ(耐蝕性)が飛躍的に向上する性質がある為である。クロムやニッケルの配合と金属組織に依って四種のステンレス鋼がある。
① マルテンサイト系ステンレス: 13%Cr-0.3%C 焼入れ後の硬さが高い鋼種。刃物、刀剣用などに用いられる。
② フェライト系ステンレス: 16%以上のクロムを含有。フェライト組織の為、焼入効果無し。
③ オーステナイト系ステンレス: 18-8(18%Cr-8%Ni)に代表される一般的なステンレス鋼。元素配分量によって多種の鋼がある。
④ 析出硬化系ステンレス: 17%Cr-7%Ni-1%Al  アルミ(Al)の添加で析出硬化性をもたせる。各種バネ部品。この内、刀剣用には主としてマルテンサイト系ステンレス鋼が使われる。
上記「軍刀サイト」より転載

一般的に耐錆鋼刀としては兼永が有名ですが、本刀は陸軍受命刀工であった小島太郎(刀工銘兼則)による耐錆鋼刀です。ステンレス鋼材としては上述にあるフェライト系ステンレスに該当するのか、丸焼きの刀身につき、通常の日本刀のような匂口はありません。よって刃文写真は割愛致します。中心には名古屋工廠の「名」刻印が見られます。

附属する九八式軍刀は石目塗りの鉄鞘で、保存状態も良く、石突金具(鐺)の桜花もしっかりと残っています。指表柄頭に見られる凹みのようなものは工廠刻印で、地鉄の石目模様が邪魔をして判然としませんが、「東」或いは壽屋商店の刻印のように見受けられます。

耐錆鋼(陸軍呼称)や不銹鋼(海軍呼称)製の刀身は、登録対象外とされるため、本刀のように登録証が交付されることは稀有であり、そのため軍装趣味人にとっては垂涎の品で、プレミア価格として高値で売買されます。完全オリジナルの軍刀拵が附属しての今回の価格提示は非常にお安く、お値打ちです。
ステンレス刀の研磨を嫌がる研師が多いですが、当店では各種軍刀に敬意を示し、あらゆる軍刀も研磨致しますので、希少な本ステンレス刀を是非研磨依頼なさってください。横手をピシッと立てた状研磨仕上げにて最高の研磨を誠心誠意工作させていただきますのでお気軽に御相談下さい。

裸身重量782グラム。  拵に納めて鞘を払った重量1,128.5グラム。

高田住正則 ~銘鑑漏れ 見事な鞘の一刀~

高田住正則 ~銘鑑漏れ 見事な鞘の一刀~
高田住正則
– Takada ju Masanori –
http://nihontou.jp/choice03/toukenkobugu/katana/693/00.html

手元資料乏しく、本刀正則について詳細不明ですが、銘振りに違和感は無く、正真銘と思われます。
杢目鍛えの地鉄が肌立ち、特筆すべき鍛錬疵は無く、肌好きな方にはうってつけ。刃文は丁子乱れを巧みに焼き上げています。

附属の拵は豪華な鐺と手間がかかった鞘が印象的で、十六葉菊花紋と五三桐紋散らしの黒石目塗り。柄に使用されている金具は、それぞれ仕事の良い物が装着されています。
縁と頭の図柄が合っていないので、頭を角にされるか、或いは菊花や秋草図の縁頭に替えますと、より一層本拵の価値が高まります。
お求め易い低価格にて御案内致しますので、保存刀剣審査を御受審頂き、本刀の価値を高め、育ててあげて下さい。
古研ぎ身で地刃の観賞に支障はございませんが、再研磨されますと更に良くなる一刀です。

裸身重量647グラム。  拵に納めて鞘を払った重量928グラム。

無銘 ~上研磨し上がったばかり 数珠刃の如き刃文~

無銘 ~上研磨し上がったばかり 数珠刃の如き刃文~
無銘
– Mumei –
http://nihontou.jp/choice03/toukenkobugu/katana/692/00.html

江戸前期作の古身を九八式軍刀拵に納めた高級品で、出自が士族、または当時裕福であった将校の指料です。
無銘ながらも特筆すべき鍛錬疵は無く、緻密に練られた地鉄が精美で、匂口明るく冴えた大互ノ目乱れは数珠刃さながら。太く覇気在る足が新々刀の如く刃先に抜け出さんばかりに頻りに入り、匂口はふわりと柔らかい感じの出来口を示しています。

平成26年に大阪の旧家より譲り受けた時点では、薄錆に包まれていましたものを、当店にて美術観賞用上研磨を施しました。
諸工作にコストをかけると採算がとれない今の時代ではありますが、縁があって当店にやってきたであろう刀剣を、本来あるべき美しい姿に蘇らせ、後世に伝えたいとの思いから、お客様に代わりしっかりとした研磨を施しました。正直表記価格では薄利しかございませんが、店主町井勲の愛刀精神を引き継ぎ、大切に御所時下さる方にお譲りできれば幸いに存じます。
研ぎあがり最上の状態ですので、是非保存刀剣審査を御受審頂き、本刀に極めをつけてあげてください。

附属する拵は九八式軍刀の後期形で、鮫皮部分はセルロイド製。鞘は帯青茶褐色の石目塗りの鉄鞘です。

裸身重量709グラム。  拵に納めて鞘を払った重量1,056グラム。