神速の居合術DVD発刊に至る経緯

私がツイッター等、ネット上でその存在と系譜に関してかねてより警鐘を鳴らしてきた天心流兵法。

ここ最近では特に陰湿なる天心流兵法擁護者とのネット上での議論(議論とも言えないくだらない嫌がらせだが)にいささか疲れていました。

ネット上では大多数が善であり、少数派は悪と言う構図も自然と出来上がるものだと、今回天心流兵法に触れてみてつくづく実感した次第です。

一部のツイッターユーザーに、「なにより、修心流の批判に賛同する人がほとんどいない。当然の結果だと思う。」と記述されたことは、私個人的にとても悔しい思いでいっぱいでした。

昔から長い物に黙って巻かれることができない性分であり、真摯に古武術としての居合を今も研究している私には、天心流が紹介する記事の内容、動画、どれをとっても首肯できるものは無く、むしろ嘘もつきとおせば真実になるとの言葉があるように、事実、天心流兵法はすでに失伝したであろう三日月藩にあった天心流そのものと、数に勝る天心流擁護派によって既成事実となりかけていました。

更に拍車をかけるようにNHKワールドスポーツが、調査裏取りをつけずに番組内において天心流兵法をとりあげてしまったことは、正統なる日本武術史の観点から見て、NHK最大のミスだと私は考えており、当該番組の責任者及びリサーチ会社は、当該番組中に於いてしっかりと謝罪すべきものだと考えます。

さて、前置きが長くなりましたが、BABジャパン様より発売されました神速の居合術DVD発刊に至る経緯をここに記します。

 

かねてより天心流兵法の動画に見られる基礎が出来ていない単なる早抜き(敢えて速抜きとは記述しません。早と速は意味が異なるからです)と、物理的にありえない形の紹介動画に対し、私はダメ出しをし続けてきました。

私のことを快く思わない方の中には、「町井は天心流兵法に嫉妬している」などと受け取られた方も数多おられたことでしょう。

天心流兵法はネット戦略が巧みで、コスプレを好む方や、漫画を描かれる方、俄かに侍に憧れる方に評判が良く、それらの方々は天心流兵法が発信する情報を鵜呑みにされ、間違った刀法をそのまま自身の漫画やイラストに取り入れてしまうなど、悪意無き武術史、武術の捏造拡散に加担されてしまいました。

私と渓流詩人さんがどれだけ警鐘を鳴らそうとも聴く耳を持っては下さいませんでした。むしろ攻撃的な意見を発する擁護派ばかりだったと言って過言ではないでしょう。

常々口にしてきたように、天心流兵法が江戸前期創流の古武術であるとか、柳生宗矩云々とか、江戸柳生分流だの、宝蔵院流影派だの、三つ葉葵紋並びに柳生笠紋の使用など、度を過ぎぬ広報活動をされていたなら、数多散見する系譜捏造流派の一つとして見向きもしなかったと思います。ただ、彼らが踏み越えてはいけない境界線を越え、武術を知らぬ素人や外国人に過大広報活動をしてしまったことは許されざるものと考えます。

「古武術 天心流兵法の写真、動画における創作でのトレス、模写の使用フリーに関して – Togetterまとめ 以前から多くの反響を頂いております天心流の写真、動画について、新たにツイートしたものをまとめました」

の一文に対し、「なんて親切なの」と喜びトレスしてしまった方も、はっきり申し上げて日本古武術史陵辱に加担した一人であることと、事の重大性を自覚されたし。

何気なくトレス使用したその構え、技、作法など、それらが漫画や同人誌という形で広く拡散されてしまうことで、それらの構え、技、作法は古来より伝承されてきたものであるという誤解がどんどん広まってしまうのです。そう、韓国が発信するありもしなかった従軍慰安婦の話が、今や既成事実のようになってしまったのと同じように… 従軍慰安婦問題もたった一人の朝日新聞記者が引き起こした騒動です。嘘は塗り重ねていくと真実と化してしまう恐ろしさに気付いて下さい。「単にトレスしただけ」では済まされないのです。どうか事の重大性に気付いて下さい。

 

さて、実は私の居合術(修心流居合術兵法)に関するDVDの製作に関しましては、もう何年も前から数社が企画提案されてきましたものを、私は悉く断って参りました。

その理由としては、今現在はこう考えているが、数年先にはまた違う考えになっているかもしれないし、今現在の自分の居合を否定しているかもしれない。と考えていたからです。この考えは他の武術家の先生方にも見られ、植芝盛平翁の書の師でもあり、合氣道十段(非公認)であった阿部醒石先生も同じお考えのもと、生涯に渡り合氣道に関する書籍は一冊も出されませんでした。(※私の記憶が確かなら)

 

そんな私が今回、何故BABジャパンさんからの企画を受け入れたのか? それは天心流兵法がネットを駆使して発する早抜き動画や情報に対する警鐘に他なりません。

あれらの動画を見て早いと賞賛される方々はずぶの素人と断言して良いでしょう。彼らの動画をしっかりと見定めたことがありますか?

刃筋立たぬ抜付と各種の振り。武術に長けた方ならそれだけで武術としてはダメだと結論を出されることでしょう。ところが素人は正否を見極める眼を持っていない。見極める方法の一つとしてお教えしましょう。彼らの動画をコマ送りしながらよくご覧になってください。鞘から抜ける瞬間、模擬刀がしなり、たわんでいることに気付くはずです。それだけではなく、各種の振りの中においても、模擬刀が変形して見える瞬間を見ることができます。これ即ち基礎が出来ていない証拠なのです。

 

しかし素人が圧倒的に多いネット閲覧者はそれに気付けません。天心流兵法の大袈裟で派手な動き、ありえない動きに憧れて門戸を叩き入門された方も多いはず。天心流が殺陣のサークルとして活動していたなら何も文句は言いませんが、真摯に武術に憧れて門戸を叩いてしまう方に対しては、老婆心ながらあの早抜きは全くなっておらず、むしろ正しく居合・抜刀術を身につけたい方には不適切であることを示さなければ、今のままではネットの勢いに乗った天心流の間違った刀法が世界に広まってしまうと言う危機感を覚えた私は、BABジャパンの担当者からのDVD発刊提案に対し、以下の約束を条件にDVD発刊を承諾したのです。

 

月刊秘伝及びBABジャパンにおいて、天心流兵法を採り上げないこと!!

 

そして私は今現在持ち合わせる私の技術を駆使し、正しく居合術を学ぶための指針となるよう、ゆっくり正確に抜く稽古法を紹介すべく、直門以外には教授するつもりが無かった居合形を、初伝形初伝之抜に限りという内容で発刊したのでした。

「私は一切口を開かない。直門以外に詳細を教えるつもりはない。」との意向を汲み取って下さったBABジャパン様が、DVD動画内ではそれを遵守して下さり、私がDVDをご覧になられる方に必要最低限お伝えしたいことのみを短い字幕で紹介して頂きました。

 

そして今回、何故そのいきさつをこのブログに書き綴るに至ったかと申しますと、多勢に無勢で消沈しきっていた私の意見に賛同するかの如きコメントを、さる日本古武術の大家がブログのコメントにて発信されたからです。

私は歯に衣着せぬ物言いしかできない性分のため、うまく立ち回ることができませんが、かの大家は大変解りやすく、また、当たり障りのない内容で天心流が発してきた稽古や形に対する概念を否定され、また、こうはっきりと記述されました。

「現在の天心流兵法と三日月藩の天心流剣術は何の関係もありません。
これ以上は述べると他流批判になるので、控えます。
研究は常識を以て慎重に。」

更にこう付け加えておられます。

「しかし、関係のないことだけはしっかり伝えてやらなければいけません。
たとえ(天心流と)関係がなかろうと、たとえ素人であろうと、武術史において誤解と錯覚はなりません。」

 

ここでお気づき頂きたいことは、「常識を以って慎重に」「たとえ素人であろうと、武術史において誤解と錯覚はなりません」の言葉の真意です。

その秘められし意味を敢えて深くは記述しません。この記事を読まれた皆様自身で一度お考えになってみてください。

 

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直筆サイン入りご希望の方は syuushinkan@nihontou.jp へお問い合わせください。

誇り高き無銘刀であれ… かまたきみこ“KATANA”

お仕事の休憩時間にでもどうぞ

そう言って渓流詩人さんが私にくれたのが“かまたきみこ”さんが描く漫画「KATANA」でした。

刀剣乱舞など刀の擬人化が流行る昨今。その流行に便乗したものかと思っていたら、このマンガの方が刀剣乱舞よりも古く、刀擬人化の先駆けのようです。

どうせ刀のことを知らぬ素人が書くファンタジーな刀マンガだろうとたかをくくって読み始めたのですが…

 

愛刀家の皆さん、愛刀家ではないけれど家に刀が伝わっている、所持されているという皆さんに、絶対に読んで頂きたいマンガです!!!

 

私は“カタリの刀”と言うお話が特に心にジーンときまして、読み終えた時には思わず目に涙が浮かんでいました。

偽銘を切った太刀のお話なのですが、あらすじは皆様のお楽しみのためにここには記しません。是非書店でKATANAの第二巻をお求めになり、このお話をご覧下さい。

 

“誇り高き無銘刀であれ”

かまたきみこ「KATANA」 カタリの刀

 

名台詞中の名台詞ですね!

かまたきみこ「KATANA」 カタリの刀

平成のサムライ、全力でこのマンガを応援します!

かまたきみこ先生、これからも刀に関する正しい知識と心を、マンガを通じて広めて下さい。

修心流居合術兵法 シアトル支部直伝稽古

修心流居合術兵法では実技だけでなく、それぞれの時代姿の刀に応じた手の内や振り方、日本刀の構造や疵などについても教授しています。

下に紹介する写真は刃切と、 “刃切がある刀は使い方次第で折れることは無い” という物理の教授風景です。

シアトル支部はベルビュー(Bellevue)にある日本人学校の講堂をお借りして活動しています。

暗殺剣  士の一族

暗殺剣  士の一族

http://blog.goo.ne.jp/kelu-cafe/e/d84cf8dc28c37d219e1cda04562b4f76

渓流詩人ブログ

忌憚無き意見交換をさせていただいている渓流詩人さんが、江戸期の居合(英信流系)に関して大変興味深い記事をお書きになられています。

敵が己に害をなさんとするのを… という綺麗事を正論だと考えられる方に、江戸時代の武家社会について知っていただければと思います。

相手が斬りかかって来たから斬った… では済まされない。正当防衛すら通じない封建社会の中で、何故に居合、剣術を極めたのか?

非常に勉強になる記事です。

 

日本刀研磨

日本刀を安易に自ら研ごうとする素人に向けて、また、日本刀研磨の下地について、まとめた動画を作りましたので是非ご覧下さい。

剣士の腕は鯉口を見れば判る。

http://blog.goo.ne.jp/kelu-cafe/e/39cbfd766ef65f7748874e7d66a61d4c
剣士の腕は鯉口を見よ

渓流詩人さんのブログを御紹介します。
実に感慨深い内容が記されており、同感であります。

刀531 無銘(寿命)の来歴について

寿命
http://nihontou.jp/choice03/toukenkobugu/katana/531/00.html

本日御案内を開始しました“刀531 無銘(寿命)”の来歴を問われる質問が寄せられましたので、他のご検討頂いておられる皆様にもお知らせ致します。

昭和26年の大名登録についてはご存知かと思いますが、当時、日本刀の個人所有が認められるようになってから、国が旧大名家を中心に、その蔵刀を登録してまわりました。
その中でも都道府県名ではない文化財登録は、初期の段階に行われました。
都道府県名での登録の場合は、その登録地から大体の出自を割り出せるのですが、文化財登録の場合は、どこの都道府県で登録が行われたのかを知ることができず、残念ながら出自来歴をたどることは、全国照会をかけなければわかりません。
全国照会をかけてしまいますと、登録証の昭和26年3月10日と言う古い登録年月日が書き換えられてしまうおそれがあるため、刀剣趣味者は名義変更すら行わないのが現状です。
26年3月中の登録は、天皇家も含め、大大名の蔵刀を中心に登録されたと言われています。
今回御紹介する寿命は静岡県下の旧コレクターが長く愛蔵していた品で、コレクター本人死去により遺族によって当店へ売りに出されました。(委託品)
本刀の登録年月日は昭和26年3月10日と、最初期の登録であること、また、本刀が静岡県下で登録されたものだとすれば、大政奉還後に静岡で隠居生活を送った徳川宗家(慶喜)の蔵刀だった可能性が窺がわれます。

レーザービーム投石部隊


野球に全く興味がない私は、イチロー選手がどのような活躍をするのかすら知りませんでした。
先日渓流詩人さんのブログで上に掲げた動画が紹介されており、見るなり唖然となりました。

強い肩
正確なコントロール

動画を見て一番に思ったことは、戦国時代の足軽投石部隊のことでした。
講談や時代劇の影響で、日本人は白兵戦志向と考えられがちですが、実は遠戦志向であり、戦の勝敗は弓と鉄砲、投石で決まったと言われます。
太刀や刀を抜いて戦うことは珍しく、槍や薙刀を含め、刃物による白兵戦は4~6%程度だったと言われます。

中でもあまり知られてはいませんが、戦では投石が多く行われ、それこそメガーリージャー並みの強靭な肩を持つ足軽で編成された投石部隊の活躍は凄まじかったものと思います。
武器となる石つぶてはどこにでも落ちており、調達に苦労することはなかったことでしょう。

イチロー選手の動画を見て、遠いところから、兜首目掛けて正確に石を投げる投石部隊足軽の姿を容易に想像することができます。
音も立てずいきなり石が飛んでくる…
食らえば骨折や脳震盪は免れないことでしょう。

ただ、あまりにも地味すぎるため、講談や時代劇では取り上げられ、語られることもありません。

ガッテン! 氷斬りに関して

昨夜放送されましたガッテン!をご覧頂きました皆様、ご視聴ありがとうございました。

氷裁断に際し、今回もとても良いデータを採取することができました。
使用した刀は、現代最高峰の名工、藤安将平刀匠の手による作です。

流石に刃毀れするかもしれないね。

氷の専門家と将平刀匠のそんな憶測をよそに、使用した将平刀は微塵の刃毀れもきたすことなく、実験とリハーサル等合わせ、40回近く氷を裁断した後も、コピー用紙を剃刀の如くサーッと切ることができました。


-20度の氷に切り込むこと約40回。氷裁断荒試しの後の将平刀の切味。

この切味は尋常ではありません。長年古刀再現に刀匠人生を捧げてきた将平刀匠の研究の賜物です。
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http://nihontou.jp/choice03/toukenkobugu/masahira/buyou/01.html
※将平刀匠による将平刀の製造直販は行っておりません。将平刀を御所望の方は将平刀匠代理店である美術刀剣 刀心にご用命下さい。

尚、人工、天然という括りではなく、氷は冷却温度によって斬り辛さが変わってきます。
聞くところによると、マイナス70度まで冷却した氷の硬度は天然水晶と同じだそうで、流石の日本刀でも刃を通さないようです。※砕けはすると思われます。

刀屋が集う市場に出向くと、実に様々な刀剣に出逢える。

出来がずばぬけたものもあれば世にいう鈍刀まで実に多彩。

人気があるのはやはり二尺三寸を超える長寸の刀。拵が附属していれば尚最高。競り値も高くなるものです。

そのような長寸の刀を手に、刀屋さん達がよくこう言われます。

「反りが浅すぎるなぁ」
「反りが深すぎるなぁ」

なぜこのような言葉が出るかといえば、世の居合抜刀を嗜むお客様方が、皆揃って六分反りを好み、それを基準とするからでしょう。

そのため長寸刀であっても有名工の作品でなければ、反りが深いもの、浅いものは比較的安く仕入れることができます。
そのような刀を狙う私にとっては御の字でありますが、正直な心中を語りますと、居合抜刀などを嗜む武辺の者が、反りの深い浅いで刀を選り好みするのは如何なものかと思うのです。
勿論、自分好みの一刀と言うものがあるとは理解しますが、私はこれまで刀を選り好みして使ったことがないものですから、そこのところの心境が解らないのです。

手元にある得物を使う。ただそれだけしか考えたことがありません。

反りが深く、試斬稽古に不向きな刀であっても、手の内次第で六分反りの刀と変わらず使うことができます。
反り浅目の刀は姿が日本刀らしくないと思われるから人気がないのかもしれませんが、素人が使っても刃味鋭いのは寛文新刀のような反りが浅い刀です。

切先が小さいと頼りないと思う人も、先幅が広いほうが良く切れるという人もおられますが、道具頼りではいけません。

私が普段使う将平は一般的な現代刀に比べると物凄く細身ですが、私はこれで隙間を空けて五本並べた畳表を袈裟にも切り上げにもします。※密着させた多本数と隙間を空けた多本数では隙間を空ける方が難しいのです。
刃肉平肉は豊かについており、けして肉は削ぎません。

ところが物斬りをされる方は、何故か平肉と刃肉を枯らすよう研師に依頼するのです。

平肉と刃肉を枯らしては、刀としての機能を発揮できません。
減らした肉は元に戻すことはできないのです。人のように食っちゃ寝してるとまた肉がつくというわけではありませんからね。

肉を削ぐのではなく、入念に内曇砥を刃先にかけてください。そうすれば肉に対する考えは変わるでしょう。
安い研磨ではなく上研磨の改正またはさっと内曇をかけたくらいで止めてもらってお使いになると、驚く程切味が鋭く変わることに気付かれるはずです。