槍術 ~テレビや映画のような派手な使い方はしません~

松﨑早太藤原直宗作之 天保八年十月日 ~大慶直胤の実子! 備前長光・景光に倣った見事な一刀 刀剣美術所載品~

松﨑早太藤原直宗作之 天保八年十月日 ~大慶直胤の実子! 備前長光・景光に倣った見事な一刀 刀剣美術所載品~
松﨑早太藤原直宗作之 天保八年十月日
– Matsuzaki Sota Fujiwara Naomune(child of Taikei Naotane) –
 
この刀は大慶直胤の子、直宗の手になる作品で、細身で元先の差が開き、スラリとした上品な姿が印象的で、表に刀樋。裏に二本樋を掻き流している。、身幅に比して重ねは厚く、地鉄は小板目肌がよく詰み、地沸微塵に厚く付き、刃文は匂口明るく冴えた互ノ目乱れで、角張る刃や片落風、丁子や尖りごころの刃が交じり、処々逆がかり、足長くよく入り、部分的に逆足を交え、砂流、金筋が見られ、長い沸筋も看取され、処々に小沸叢付く。帽子は表裏共に乱れ込み、先尖りごころに丸く、やや深く返り、少しく掃きかける。茎は棟と刃方共に丸く、先栗尻、鑢目は化粧に大筋違になっており、直胤の備前景光・兼光写しによく似ています。
直胤のこの手の作域は、姿までも古調の太刀姿に造り込むのが常ですが、この直宗の作も同様で、焼刃は互の目を主調に角ばる刃や片落風の刃等を交える等の刃取りを見せ、匂い勝ちに小沸が叢付き、長く金筋・沸筋がかかっており、直胤の作に比して、刃の形が不揃いながら、そこに直宗の技倆と見どころが窺えます。
 
尚、本刀は「刀剣美術 平成十五(2003年)年十月号 第五六一号」に「荘司直胤の実子、「松崎直宗」について」-山形藩主水野氏の新史料による-として紹介された作品です。写真下に刀剣美術 第五六一号の2ページから10ページを引用して御紹介致します。
 
裸身重量704グラム。  拵に納めて鞘を払った重量1,087グラム。

宇多 ~大切先の豪壮な一刀~

宇多 ~大切先の豪壮な一刀~

無銘(宇多)
– Mumei (Uda) –
https://nihontou.jp/choice03/toukenkobugu/wakizashi/701/00.html

宇多派は鎌倉時代末期の文保頃に、大和国宇陀郡から古入道国光が越中に移住したことによって興り、以後室町時代に渡って繁栄しました。
中でも鎌倉時代末期から南北朝時代にかけての作品を古宇多、室町期の作品を宇多と、それぞれ称呼しています。

この脇指は腰元より上で強く反り、地鉄は板目に杢交じって柾がかり、大和の系譜を感じさせる出来口を示した作品で、元先の差がさほど開かず、切先が大きく延びた鋭く力強い姿が印象的。
刃文は小湾れ調子に互ノ目乱れを焼き上げ、匂口は柔らかい感じで刃中刃肌に絡んで豊かな景色を見せ、砂流随所に現れ、帽子は表裏共に直ぐに先丸く短く返っており、豪壮さと、古刀ならではの地鉄の美と刃中の働きを堪能できる一刀です。

ただ斬っているだけの動画ですが

町井勲の… 猿でもわかる試斬のイロハ!! ~袈裟斬編~

情報提供求む!!

本日、静岡にお住まいのお客様から御刀を一振買取させていただきました。

登録証を見ると鉛筆書きで大小とあったものですから、慌ててお客様にお電話さし上げましたところ、脇指の方はおたからや静岡大橋西店にて昨年12月に売ってしまわれたとのことでした。

長年連れ添った大小拵が逸散してしまうことは、我が国の文化財保護の観点から見ても、非常に由々しき事態と思います。

脇指を売ってしまわれたお客様も、大小セットだったとは知らず… と後悔しきりです。

当然私もすぐにおたからやさんに問い合わせましたが、既に業者市場もしくはネットオークションで転売済みのようでした。

登録番号は連番で取得されていた場合岐阜県309或いは311かと思われます。昭和26年3月21日の登録です。

このブログをご覧の方でお心当たりがあられる方は、是非とも美術刀剣刀心へご一報下さいますようお願い致します。

白鞘と拵、継木があるようです。

携帯で撮影しました簡単な写真を添付致しますので、この拵の小と思しき脇指を購入された方、或いは他店で売りに出ているのを知っているという方は、情報のご提供を宜しくお願い致します。

※刀剣は刀剣専門業者にて売却されてください。複数刀剣を売却される場合は、できるだけ一店舗で売却なさってください。今回のように大小がばらされてしまうのは大きな損失且つ、売却されるお客様にとっても大きな買取査定の損失になります。

まるで日輪刀!? 総額500万円の日本刀で剣術の業と刀に出来る傷を検証!!

一文字天秀鍛之 ~内外共に鑑定書付き 見事な杢目肌~

一文字天秀鍛之 ~内外共に鑑定書付き 見事な杢目肌~
一文字天秀鍛之
– Ichimonji Amahide –
 
福本天秀は本名をは福本秀吉と言い、株式会社関日本刀鍛錬所に所属した刀工で、一文字天秀と名乗りました。活躍したのは昭和前期で、数多の軍用刀身を鍛え、その強靭さと刃味には定評があり、聖代刀匠位列に於いては、上工の列、大業物関脇格に列しています。
 
この刀は元先の差が目立っては広がらず、切先はやや延びて豪壮さを感じさせます。
杢目鍛えで緻密に練られた地鉄には、随所に地景が見られ、それはあたかも縮緬のよう。刃文は匂口明るく冴えた直刃調の互ノ目乱れで、尖り互ノ目交じり、焼頭に足が入って乱れの山を二分、三分とし、刃中や刃縁は地鉄に絡んで複雑な景色を見せ、金筋入った実に見事な出来口を示す力作で、肌物好きの方にはたまらないことでしょう。出来良い一刀ですので、余力がある方は是非とも上研磨を施して更なる地刃の妙をお楽しみ頂きたく存じます。
 
附属の拵は金具一作揃の半太刀拵で、重厚感があり、質実剛健の美を感じさせます。鞘を払って構えてみると、手元重心でバランスが頗る良く、柄にがたつきも一切無く良好です。
 
裸身重量707グラム。  拵に納めて鞘を払った重量1,091グラム。

無銘 ~二尺四寸八分六厘~

無銘 ~二尺四寸八分六厘~
無銘
– Mumei –
 
小板目肌良く練れて詰み、匂口は明るく、互ノ目乱れを焼き上げ、乱れの山に足を入れ、焼頭を二分、三分としている。刃中には砂流が顕著に見られ、然るべき研磨を施せば美術鑑賞刀としてもお楽しみ頂ける出来口です。
 
附属の拵は赤を基調とした変わり塗りで、割れは無いが刃方、棟方には補修痕が見られますが、しっかりとした補修がなされているので、御使用の上では特に問題はございません。柄に僅かに遊びがございます。御自身でも経木を貼って直せるレベルですが、当店にて補修御希望の方は5,000円(税別)にて承ります。
鞘を払って構えた際の重心は刀身の中程で、さほど重くは感じられないかと思います。二尺四寸八分。刀身にこれといった鍛錬疵も無い拵入りの真面目な刀がこの価格ならお求め易いかと存じますので、是非この機会にご検討下さい。
※居合等武用に御使用になられる場合は、時代ある古い柄を守るためにも、是非当店に簡易武用柄を御用命下さい。20,000円(税別)にてご用意させて頂きます。
 
裸身重量818グラム。  拵に納めて鞘を払った重量1,078グラム。

豊後住大和守藤原國行 ~菊図で統一された粋な拵~

豊後住大和守藤原國行 ~菊図で統一された粋な拵~
豊後住大和守藤原國行
– Bungo ju Yamato no kami Fujiwara Kuniyuki –
 
豊州高田派は、豊後国高田地区(現大分市鶴崎近辺)で栄えた刀工一派で、古刀期の作に平姓を銘切るものが多いことから、それらを平高田と称し、新刀期以降、藤原姓を銘切るようになってからは、藤原高田と汎称します。
古来より実用刀としての評価が高い一派で、武用刀として数多の武将に愛用されました。藤原高田の中でも、とりわけ大和守藤原國行は名工として名高く、時代は江戸の虎鉄や大坂の助廣、真改と同時代の寛文頃(1661年)の業物として著名であり、刃文は当時、肥前刀として一世風靡した近江大掾忠廣の如き匂口の深い直刃を明るく焼き上げることから、國行をはじめとした豊後刀の多くが、肥前刀の偽物に改竄された悲しき歴史もあるほどです。
 
この刀は小板目良く練れて詰んだ地鉄に地沸が付き、地刃の出来は頗る良く、匂口明るく冴えた互ノ目乱れを巧みに焼き上げ、刃中には葉が見られ、所々に大粒の沸が絡みつき、乱れの谷には吊り橋の如き沸筋が、乱れの山を繋ぐなど、見所ある出来口で國行の技量の高さを示す作品です。
現状では身幅、重ねを無駄に減らさぬよう、小錆を残したまま研ぎ上げられていますが、古研ぎとは言え、しっかりとした良い仕事の研磨がかけられています。余力ある方は再研磨を施して頂き、特別保存刀剣鑑定に挑戦なさってください。
 
附属の拵は金具を全て菊の図で統一した上品な品で、見た目にもスッキリとしていて気持ちが良く、鞘から払って構えてみると、手持ちのバランスがとても良く、片手操作にも適しています。
柄には少し遊びがありますが、目釘を差し込むと遊びがおさまります。完全なるがたつきの補修御希望の場合は、5,000円(税別)にて承ります。
※小錆を残したまま仕上げている関係で、物打辺りに極小の刃毀れのように見える箇所がございます。
 
裸身重量606グラム。  拵に納めて鞘を払った重量894グラム。