一龍子作(長光)

一龍子作(長光)

一龍子作(長光)
– Ichiryushi saku(Nagamitsu) –
 
昭和19年陸軍々刀技術奨励会展に於て、「指定刀匠の部」に名前を連ねている昭和前期の名工市原長光。号を一龍子と称しました。
戦時中岡山刑務所の所長であった江村繁太郎は、模範的な受刑者の更生を願い、市原一龍子長光を招聘して受刑者に先手をさせ、刑務所内に於いて数多の日本刀を鍛錬しました。
そのため俗に市原長光の作は、世上、「監獄長光」と言われていましたが、岡山刑務所で鍛えられた作には「江村」と銘切られていたため、長光個銘の作を指して「監獄長光」と呼称するのは間違いと言えます。
戦時中という世情もありまともな美術研磨を施された作品が少ないため、単に本鍛錬軍刀の一つと括られ勝ちですが、入念なる研磨を施して見るとその技量の高さに誰もが驚く昭和の名刀で、利刀としての評判は当時から高く、陸軍受命刀工としても活躍しました。

この刀は見幅広めで重ね厚く、松葉先もしっかりと張って切先が延び、如何にも物斬れしそうな豪壮さを感じさせる体配に、杢目肌が良く練れて肌立ち、匂口明るく冴えた互ノ目丁子を巧みに焼いた作品で、新々刀期の備前物を彷彿とさせる出来口。

附属の拵は陸軍将校用新軍刀。通称三式軍刀。またの名を決戦刀と呼ばれるタイプで、それまでの戦訓から、九四・九八式軍刀は「柄」と柄に纏(まつ)わる目釘と柄糸の脆弱性が問題視され、それらの問題を改善し、且つ、時局柄、機能・実用に重点を置いた外装として誕生しました。
責金や猿手は省略され、鐔と金具も簡素化。鯉口には防塵2分割口金を採用。また、納める刀身の中心の長さを増し、二本目釘にして頑強さを求めました。中には通常、竹を用いて作られる目釘を、螺旋式の鉄目釘にしているものも見られます。
柄巻きは一貫巻を採用し、柄糸には漆を掛けて補強が図られた他、目貫が旧来の太刀拵から打刀拵の位置に変更される等の特徴を持つ、まさに実戦用軍刀拵です。本刀附属のこの三式軍刀はその中でも初期型で保存状態極めて良く、軍装趣味人にとっては垂涎の品と言って過言ではないでしょう。

現状でも地刃の観賞は可能ですが、出来が良い一刀だけに、是非とも美術観賞用の真面目な研磨を施して頂き、市原長光の技量の高さをご堪能下さい。

裸身重量794グラム。  拵に納めて鞘を払った重量1,157グラム。

濃州関住二十三代藤原兼房作 昭和二二十九年二月吉日

濃州関住二十三代藤原兼房作 昭和二二十九年二月吉日

濃州関住二十三代藤原兼房作 昭和二二十九年二月吉日
– Noshu Seki ju nijusandai Fujiwara Kanefusa saku(23generation) –
 
本名、加藤鉀一。明治13年生まれ。岐阜県関市栄町住、加藤善之助寿命の門人で国工院名誉会員権大宗匠、入選、優秀賞を多数獲得し、岐阜県重要無形文化財指定を受けた昭和の名工です。
 
この刀は巷に出回る安価居合刀として鍛えられたものではなく、美術観賞用、御守刀として入念に鍛えられた一刀で、当然ながら研磨やはばきも良い仕事がなされています。
身幅広く、重ね厚めで切先延びた豪壮な造り込みに、小板目よく練れて詰んだ精良な地鉄。匂口明るく冴えた互ノ目丁子乱れは頻りに足が入って見事であり、総体にふんわりとした柔かい印象を与える出来口です。
※極小の刃毀れが刀身中程に見られます。部分研磨(有償)にて除去可能ですのでご希望の方はお申し付け下さい。
 
 
裸身重量999グラム。

刀 無銘

刀 無銘

無銘
– Mumei –
市場初登場の完全なるうぶ出し! 眼垢は一切ついておりません。
刃長二尺三寸余の長めの時代刀が納められた98式鉄鞘陸軍刀拵。軍装に精通された方なら写真をご覧頂いた途端、元々は二鐶吊りの94式軍刀であり、駐爪牡丹の位置などから初期型であることがお判り頂けるはずです。
 
刀身はうぶ無銘で、所々に鍛錬疵が見られるも、小板目に杢交じり、刃縁柾がかり、淡く乱れ映りが見られ、匂口は明るく、元の方に兼房乱れを連想させる互ノ目乱れ、先に行くにしたがって乱れの高低が落ち着いた互ノ目乱れとなり、刃中には砂流や足が盛んに入った働き豊富な出来口を示しています。
 
附属の軍刀拵は金具刻印は全て「4」番の完全なるオリジナル。大切羽は鐔と一体型の少し珍しいタイプで、鞘の痛みも少なくコンディションは良好。柄巻きのみ絹糸の風化が著しかったため、当店にて上柄巻きを施しました。
この一刀を携えられた英霊の心をも大切に次世代に伝えて下さる方にお譲りしたく思います。
※保存審査受審をご希望の方は、指裏の疵在る箇所に埋鉄を施されることをお薦め致します。
 
 
裸身重量857グラム。  拵に納めて鞘を払った重量1,275グラム。

脇指  陸奥守包保 甲割(右陸奥)

脇指  陸奥守包保 甲割(右陸奥)

陸奥守包保 甲割(右陸奥)
– Mutsunokami Kaneyasu Kabutowari(Migi Mutsu) –
 
陸奥守包保は、左陸奥包保の門人で後に養子となった人物です。初銘を包重と称し、この時代の作品には銘を師の左陸奥と同じく逆文字(鏡映し)に切っていますが、包保に改名してからは、通常の右文字に銘切るようになることから、師の「左陸奥」と区別して「右陸奥」と称されています。
彼は後年に養父と共に信州松本城主水野家に抱えられ、信州松本に於いても作刀しており、延宝五年から元禄二年までの年紀のある作品を残しています。
 
鎌倉期の猪首切先を思わせるフクラたっぷりとした丸みある切先が印象的なこの脇指は、兵庫県の旧家より直接当店がお引き受けし、登録作業から美術観賞用上研磨、白鞘の新調など全てを当店にて施しました。本邦市場初登場の完全なるうぶ品で眼垢は一切ついておりません。
地鉄は小板目肌がよく練れて詰み、地沸ついて地景入り、匂口明るい中直刃を上品に焼き上げています。一見単調な直刃に見えるも、仔細にご覧頂ければ細かな刃縁と刃中の働きに気付かれるはず。眺める度に新たな発見を楽しめる一振りです。
 
上研磨は日本美術刀剣保存協会主催のコンクールに於いて入賞を果たす上手な研師が担当しました。
何もお手をかけることなく存分に右陸奥の地刃をご堪能できるうぶ出しの一刀。是非この機会に御入手下さい。
 
裸身重量421グラム。

刀 越後守有平

刀 越後守有平

刀 越後守有平

http://nihontou.jp/choice03/toukenkobugu/katana/600/00.html

 

良く練れて詰んだ精良な地鉄に匂口明るく冴えた尖り刃交じりの互ノ目丁子乱れを焼いた作品。
現状では物打より先を素人が耐水ペーパーで擦ってしまっているため、一部見劣りする箇所がありますが、地刃の観賞は可能です。指表帽子の中に小さな鍛錬疵があり、真鍮にでも切り込んだのでしょうか、その疵の中に真鍮が食い込んでいます。
有平銘に関しては首肯しかねるので、無銘の刀としてお求め下さい。価格の割には出来が良い一刀ですので、再研磨を施して頂くと見違えるように綺麗になります。
※納期にお時間を頂戴しても宜しければ、研磨の御相談承ります。

裸身重量794グラム。

刀 無銘

刀 無銘

刀 無銘

http://nihontou.jp/choice03/toukenkobugu/katana/601/00.html

 

大東亜戦争時に軍刀として鍛えられた一刀。
元先の差が開き、寸法の割りに重量があって、中切先がやや延びた美しくも鋭利な造り込みで、鍛えは無地。匂口は明るく冴えた小湾れに互ノ目が交じる出来口です。

鞘擦れによる長いヒケがありますが、真面目な研磨が施されているので観賞刀としてもご堪能頂けます。附属する拵の鐔が構図、仕事共に良く、これから刀剣趣味を始められる方、まずは一振りと言う方や、短めの武用刀をお探しの方、試斬稽古用の刀をお探しの方にお薦めです。

裸身重量696グラム。  拵に納めて鞘を払った重量936グラム。

刀 高田住貞行

刀 高田住貞行

刀 高田住貞行

http://nihontou.jp/choice03/toukenkobugu/katana/599/00.html

 

豊州高田派は、豊後国高田地区(現大分市鶴崎近辺)で栄えた刀工一派で、筑前左文字系の友行を祖とします。古刀期の作に平姓を銘切るものが多いことから、それらを平高田と称し、新刀期以降は藤原姓を銘切るようになったことから、藤原高田と汎称します。古来より実用刀としての評価が高い一派で武用刀として数多の武将に愛用されました。
作域は広く、相州伝や美濃伝、匂い本位の備前伝など多彩にこなします。

この刀は元先の差が開いた優しい姿に、直刃を焼いた作品で、一見単調な直刃に見えるも、刃縁に細かな働きが見られ、刃縁よく沸づき、長い金筋を携えた魅力ある出来口を示しており、手持ちバランスも好ましく、居合等片手での操作に真向きの良刀です。

附属する拵の鞘は痛み少なくコンディション良好。鞘等の消耗品は年々その姿を消す一方ですので、本刀を居合のお稽古にお使いになられることを考えておられる方は、文化財保護の観点からも、新たに鞘を新調されてからお使い頂きますよう御協力をお願い致します。

裸身重量636グラム。  拵に納めて鞘を払った重量857グラム。

刀 下総大掾藤原兼正

刀 下総大掾藤原兼正

http://nihontou.jp/choice03/toukenkobugu/katana/598/00.html

下総大掾藤原兼正。俗名を服部吉兵衛。濃州関兼法五代孫という。越前、江戸、彦根にて造る。銘は「下総大掾藤原兼正」「下総大掾藤原兼正越前住」「越前下総大掾藤原兼正近江彦根住」等と切る。

小板目杢交じりの肌立った地鉄に、破綻無き直刃を見事に焼き上げた作品。手入不足から現状ではみすぼらしくあるも、再研磨によって輝きを取り戻してあげて下さい。
現状でも地刃の御観賞頂けますが、研磨代金を考慮してお安く御紹介致しますので何卒ご検討下さい。同時にはばきも新調されると、本刀も喜ぶものと思います。

裸身重量535グラム。

刀 菊紋(伝國清)

菊紋(伝國清)菊紋(伝國清)

– Kikumon(Den Kunikiyo)-

http://nihontou.jp/choice03/toukenkobugu/katana/597/00.html

 

初代山城守国清は松平忠昌公の抱え工で名を吉右衛門と言い、三代島田助宗の子として信州松本で生まれました。 初銘は助宗。後に上洛して堀川国広門下に入り、銘を国清へと改めています。
師である國廣没後は越後高田の松平忠昌に仕え、更に忠昌が越前福井に転封の際には、主君に従って同地に移ったと伝えられています。寛永四年山城大掾を受領。菊紋を切ることを許され、翌年に山城守へと転じ、慶安二年に六十歳で没しています。
国清銘は数代の継承が見られますが、中でも初代が上手で位高く、二代国清は初代の子で、作刀は初代同様に直刃の作が多く、肥前刀さながらの作風を示したものがあります。また、一般的に初代作には「一」の字を使用しているものはなく、二代以降の作に「一」の字を切っていますが、初・二代を明確に区分する事は現時点では難しく、今後の研究課題となっています。

この刀は悪意ある者の手によって銘を消され、中心尻の形状を変え、花弁中央に鏨を切られ、中心指表に井上真改の銘を切られた形跡が見られます。現在はその悪意ある銘の改竄を正し、菊紋のみを残して無銘にしてありますが、元々在銘であった真面目な作が偽物作りの材料にされてしまったことは、一愛刀家として非常に悲しいことと考えています。
ただ、偽物作りの材料となっただけあって、地刃の出来は冴えていますので、心あるお客様の元で愛でて頂きたく存じます。
江戸期に上士の間で流行した短寸の刃長、赤銅着せのはばきが装着されていることから、位の高い士による注文打ちの一刀であったことが窺がい知れます。
現状でも御観賞には充分耐えうる研磨状態ではございますが、お安く御案内致しますので、是非とも再研磨の上愛でてあげて下さい。
※はばきの赤銅色揚げ及び研磨のご依頼はお気軽に御相談下さい。

裸身重量679グラム。

刀 無銘 ~刃長二尺五寸七厘の古刀~

刀 無銘

http://nihontou.jp/choice03/toukenkobugu/katana/596/00.html

小疵が点在するも姿良くきりりとした二尺五寸を越える古刀です。手持ちバランスも良く、古来より二本樋の刀に鈍刀無しとの言葉があるとおり、落ち着いた佇まいの中にも、剛を感じる出来口です。
古い刀の中には、合戦において折れるよりも曲がることの方が良いと考えられ、そのため敢えて焼きを甘く仕上げた感がある作品を数多経眼しますが、本刀もそれに洩れず、焼刃は沈んだものになっています。
試斬にお使い頂くことも可能ではありますが、どちらかと言えば観賞や居合形稽古用として御所持頂く方が相応しいかと存じます。

裸身重量922グラム。