ゆっくりと正確に形を稽古する

居合術は刀を抜き差しするだけの武術ではありません。
身体操作を身につけるにおいて、日本刀という物差しを用い、形稽古の中で無駄な動きを排し、身体本来の動きを探求するものです。

故に速抜きでの形稽古は初伝之抜、中伝之抜、奥伝之抜の三伝をしっかりと身につけた後に初めて行うものであり、速抜きを行うと言うよりは、必然的に速くなっているというのが理想かと考えます。
昨今、居合の形稽古において鞘を削る、割ってしまうという方がおられますが、そう言った順序を無視し、三伝を身につけていない状態で速抜き稽古を行ったり、速抜きすることこそが居合、剣術だと勘違いした稽古をするから、刀身にヒケ(擦り傷)をつけたり、鞘を無駄に壊してしまうのです。

数字を覚えた程度で因数分解はできないのと同じです。足し算引き算、掛け算割り算と言った、基礎をしっかりと身につけて初めて因数分解ができる。
自身の愛刀の鞘を覗き、削りカスや切り傷があるようでは、まだまだ速抜き稽古が出来る段階ではありません。

急いては事をし損ずる

昔の人はこのような言葉も残しておられます。
焦らず、楽しく、ゆっくりと稽古を重ねましょう。

ゆっくりと正確に形を稽古する」への2件のフィードバック

  1. 町井様
    2年半前、初めて居合を習う機会を得て「刀心」」で模擬刀を購入いたしました。現在は「無外流・弐段」を認可していただいており、参段に向けて稽古に励んでおります。69歳後半から始め、70歳で弐段。そろそろ真剣が欲しいという欲求が頭をもたげてまいりましたが、まだまだ未熟であり、速さを追求すればどこかでミスが起こります。心がけていることは、丁寧にゆっくりと行うこと。いわば太極拳のような動きが大切なのです。確実に形が身に付いた時点で速さを求め、真剣に移行すべきだと思っております。町井様のお言葉通り、下手な動きをすれば必ずケガをすることになるでしょうし、技も雑になります。今後も自分の技量に合わせて稽古を進めていくつもりでおります。

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