6月 2019のアーカイブ
手持ちバランス良い古刀
無銘(新々刀寿命) ~手持ちバランス最上の一振! 上研磨済み!!~
無銘(会津道辰)
近江大掾藤原忠廣 以真鍛作之
お手頃寸延短刀
柄前の大切さ
下にご紹介します柄前は同じ刀の物です。
アイフォンを使って簡単に撮影したものなので色が悪いですが、比較はじゅうぶんできます。
この拵に納まっているのは、現代の名工、藤安将平師の南北朝写しの作品です。
実はこの刀には苦い思い出があります…
九州にお住まいのとあるお客様からの依頼でこの刀は鍛えられました。
当初、一年で全ての作業を終えて納品する予定だったのですが、発注をかけてから刀身が打ち上がったのがなんと一年半後…
お客様はお怒りになられ、支払った代金を返金してくれと…
将平刀匠は気分屋なのか、あっと言う間に刀を仕上げてくれる時もあれば、3年半待たされたこともあります。
この刀も作刀意欲が湧かない時分に発注してしまったからなのか、とにかく打ち上がるまで時間がかかりました。お客様からは二振御注文を受けていたのですが、二振とも返金することに。刀が将平刀匠から届いたのは返金後のことでしたので、私はてんやわんやした次第です。
仕方ないので自分の愛刀にしようかと、拵を造ったのですが、納得いく物が出来上がりませんでした。
私は柄の狂いにとてもシビアなものですから、職方の中には私からの依頼を断る方もおられます。
これまでお客様の拵を製作しても、柄前が満足いくものでなかった場合、私は自腹を切って二度、三度と造り直させてきましたが、流石に赤字が続きます。
なかなか満足いく柄前ができないものですから、思い切って工作費が高価な腕の良い職方に柄前を造り直してもらうことにし、職方に刀を送ったのが昨年の9月2日。
そして昨日、ようやく理想通りの柄前が出来上がって戻ってきました。実に待つこと9カ月。
いつ戦に出ることになるか解らない戦国の世なら、納期厳守は当然ですが、刀職が昔ほど居ない今の時代においては、しっかりしたものを望むなら、金銭を惜しまず、また、粘り強く諸工作を待つのが賢明です。
さて、前置きが長くなりましたが、先に紹介しました柄前、何がどうだめだか判りますか?
二つ並んだ柄前の上の方が造り直した柄前。下の方が満足いかなかった柄前です。
同じ向き同じ角度から撮影しているのに、下の柄前は柄頭の上の方が多く見え、下の方は少ししか見えません。これはつまり、柄頭が斜めに取り付けられているということであり、必然的に柄前は捻じれたものに仕上がっています。
これでは諸手持ちで刃筋を通すことが難しくなります。
巷にはこうした柄前が実に多く散見され、真剣のみならず、居合稽古用模擬刀でも頻繁に見受けられます。
癖がある柄前ですから、使い続けていると悪い手癖がついてしまうので、こうした柄は早急に造り直した方が賢明です。
上に紹介した写真では判りづらいという方のために、下にもう一枚写真を掲載します。
柄頭を垂直に立てた状態で撮影しましたが、縁金具をご覧ください。
斜めになっていることが判りますよね?
片手操作であれば問題ありませんが、諸手持ちで構えると、右手で握り込む分には刃筋が立ちますが、左手で握り込むと刃筋が狂うというわけです。
居合や抜刀を修練されている方は、一度御自身の愛刀の柄前を確認してください。
普段の稽古で刃筋が立たないと悩まれている方、原因は貴方ではなく、刀の柄前にあるやもしれません。
私が営んでおります「美術刀剣 刀心」では、居合稽古用模擬刀御注文の際、「店主 町井勲による細部点検」と言う有料オプションがございますが、実はこのオプションで精査しているのは、こうした柄前の捻じれや、柄に対してちゃんと刀身が真っ直ぐに納まっているかと言う点なのです。
以前はこうした私による細部点検も無償で対応しておりましたが、頻繁に柄を造り直させたり、組み立てなおさせるものですから、模擬刀メーカーさんも送料のみならず赤字が出てしまうため、有料化に踏み切ったという次第です。
上記オプションを御指定下さらなかったお客様の中には、不本意ながら捻じれた柄前のまま納品せざるをえません。私自身も心苦しい思いではありますが、それだけ安易に柄前のことを考えてしまったお客様にも責任があるかとこの頃は考えるようになりました。
ほんのゼロコンマ何度かの狂いであっても、それによって刀の刃味を発揮できない。または悪い手癖がついてしまう弊害を考慮しますと、居合稽古模擬刀発注の際の私による細部点検(4,000円+税)はけして高いものではなく、むしろ安いものだと思います。
また、近頃は頻繁にこのような僅かな狂いがある柄前が出来上がることが多いため、安価な拵の御依頼に関しましては、これまでのように私が自腹を切って造り直すことは致しかねますので、柄前の芯出し保証は上柄前の御依頼のみとさせて頂きますこと、何卒ご了承くださいませ。
美術刀剣 刀心掲載の真剣の拵に、店主町井勲監修と明記あるものは、私が精査して合格した拵ですので、どうぞ安心してご選択ください。
國助 ~丁子刃見事な観賞向けの一刀~
佐賀住國清 ~現存数少ない希少な脇肥前刀~
無銘- Mumei –
無銘- Mumei –
https://nihontou.jp/choice03/toukenkobugu/katana/923/00.html
鎬高く、元先の差が開いた優雅な造り込みに直刃調の緩やかな湾れを焼いた作品です。
手持ちバランスがとても良く、手元重心ですので実際の重さよりも軽く感じられ、居合等の片手操作に適しています。掲載写真では証明の加減で鎬地の鍛え目が目立って見えますが、実物は写真程目立ちませんのでご安心ください。
附属の拵には武道にかけた葡萄図の鐔が添えられており、武辺者にとってはお洒落な一刀です。
二尺四寸程ある拵付きの古刀を、お求め易い低価格で御案内致しますので、この機会を逃さないでください。
裸身重量735グラム。 拵に納めて鞘を払った重量1,062グラム。