5月 2017のアーカイブ
肥前國忠廣
無銘 ~町井勲監修、黒蝋塗鞘打刀拵新調済み 身幅広い剛刀~
紀伊國上村康光
ダメだ… ~何があった!?~
天才
写真:天才藤安将平刀匠と私。手にするのは愛刀“BB弾斬将平”
天才
この言葉は藤安将平刀匠のためにあるのではないか?
そう思うことが多々あります。
皆様も周知の通り、私は藤安将平刀匠の作品とその人柄に惚れ、時には借金を重ねてまで将平師の作刀を応援し続けています。
その甲斐があり、将平師の作品は古刀に紛う域に達したと言っても過言ではないでしょう。
私が古い刀や将平師の作品を売って資金を作り、将平師には思いのままに作刀をして頂いています。
いつか将平師の作品を展示する将平刀剣美術館を作りたい。その思いも日々増しています。
今日はつい先ほど将平師から
「とんでもないものが出来てしまった!」
との朗報がありました。
過去最高の地鉄、焼刃とのこと。
「今夜徹夜で仕上げるから! 町井さんに早く見せたい!」
受話器の向こうから聞こえる将平師の明るい声。私も早く実物を拝見したくてうずうずしています。
町井家の重宝として発注した小烏丸写しも、今回と同じ手法で鍛えて下さるとのこと。立派な太刀拵を誂え、子々孫々伝えて行きたい。
宗近写し…
五条兼永写し…
熱田神宮蔵の大兼房写し…
続々と名刀の写しが出来上がりつつあります。
いつか皆様とこれらの作品を将平刀剣美術館で眺めたいものです。
今後も将平師の作刀を応援すべく、順次将平刀を御紹介してまいります。乞うご期待。
写真は私の武用愛刀、“BB弾斬将平”
菊紋(伝國清)
– Kikumon(Den Kunikiyo) –
http://nihontou.jp/choice03/toukenkobugu/katana/611/00.html
初代山城守國清は松平忠昌公の抱え工で名を吉右衛門と言い、三代島田助宗の子として信州松本で生まれました。 初銘は助宗。後に上洛して堀川國広門下に入り、銘を國清へと改めています。
師である國廣没後は越後高田の松平忠昌に仕え、更に忠昌が越前福井に転封の際には、主君に従って同地に移ったと伝えられています。寛永四年山城大掾を受領。菊紋を切ることを許され、翌年に山城守へと転じ、慶安二年に六十歳で没しています。
國清銘は数代の継承が見られますが、中でも初代が上手で位高く、二代國清は初代の子で、作刀は初代同様に直刃の作が多く、肥前刀さながらの作風を示したものがあります。また、一般的に初代作には「一」の字を使用しているものはなく、二代以降の作に「一」の字を切っていますが、初・二代を明確に区分する事は現時点では難しく、今後の研究課題となっています。
この刀は悪意ある者の手によって銘を消され、中心尻の形状を変え、花弁中央に鏨を切られ、中心指表に井上真改の銘を切られた形跡が見られます。現在はその悪意ある銘の改竄を正し、菊紋のみを残して無銘にしてありますが、元々在銘であった真面目な作が偽物作りの材料にされてしまったことは、一愛刀家として非常に悲しいことと考えています。
ただ、偽物作りの材料となっただけあって、地刃の出来は冴えていますので、心あるお客様の元で愛でて頂きたく存じます。
江戸期に上士の間で流行した短寸の刃長、赤銅着せのはばきが装着されていることから、位の高い士による注文打ちの一刀であったことが窺がい知れます。
現状でも御観賞には充分耐えうる研磨状態ではございますが、お安く御案内致しますので、是非とも再研磨の上愛でてあげて下さい。
※はばきの赤銅色揚げ及び研磨のご依頼はお気軽に御相談下さい。
裸身重量679グラム。
加州藤原景平(初代兼若の長男にして事実上の二代兼若と言われる加賀前田家お抱えの名工)
加州藤原景平
– Kashu Fujiwara Kagehira –
http://nihontou.jp/choice03/toukenkobugu/wakizashi/365/00.html
越中守高平(初代兼若)の長男。父高平の作刀を助けて時に代作も務めました。加賀前田家に仕え、同国で最もよく知られた兼若一門の刀工です。
俗名を辻村四郎右衛門と称し、辻村家の家督を継ぐも、父である初代兼若が高平へと改銘するに伴い、自身も景平と名乗り、兼若とは名乗っていないものの、事実上の二代兼若に当ります。
尚、兼若銘は弟である又助が襲名し、上述の通り、景平は辻村家の家督を継ぐも、兼若家の由緒書によれば彼には子がなかったため、又助兼若が養子となり、辻村家の家督を継いだと記されています。その後兼若の名跡は代を重ねて繁栄しました。
この脇指は加賀前田家中による依頼で鍛えられたものと推測され、武家における大小の小として頃合の寸法。元先の身幅の落ち具合や程好い反り、帽子やや延びごころの体配は、流石は加賀正宗と称された兼若家の手に成る脇指であると感服させられます。
地鉄は小板目で、所々に大肌や粕立つところが見られるも、総体に言えばよく詰んて潤いを感じさせるもので、淡く映りも立ち、刃文は匂口柔らかい感じの匂勝ちなる湾れ調互ノ目乱れ。匂口明るく、刃中にも細かな働きが随所に見られます。
兼若(景平含)の作に関し、前田家中の間では「見るには沸出来。使うには匂出来。」との言葉が残っており、兼若家の作品は沸出来よりも匂出来の方が利刀としては優れていた節が窺え、本脇指はその後者である匂出来の作品。観賞よりも実用を重視した士からの需めに応じて鍛えられた作品やも。と考えると、歴史浪漫も広がります。
※はばき上棟に鍛え筋。切先々端と刃区に小錆があります。
初代の代作をも務めた事実上の二代兼若!! 利刀としてもその名を轟かせ、良業物の作者としても有名! 是非この機会に御入手下さい。
裸身重量399グラム。