日本軍の軍刀は、古式の太刀拵を模したものですから、見た目がとてもかっこいいですよね。
特に人気が高いのが九四式と呼ばれる吊鐶が二つ付いたタイプです。
軍刀サイトより写真転載
過去、私も勉強不足だった頃、九四式軍刀拵に魅了されて陥ったミスなのですが、九四式軍刀の第二佩鐶を透かし鐔がついた九八式軍刀拵に後から取り付けて、なんちゃって九四式軍刀に仕立てて販売する業者や数寄者がいることに注意してください。
それらを承知で購入される場合はなんら問題ありませんが、うぶの九四式軍刀が欲しい場合、以下のことに御留意頂くと良いでしょう。
・九四式軍刀は昭和13年4月で廃止され、同年5月からは第二佩鐶を廃した九八式軍刀拵へと変遷する。
つまり、九四式軍刀拵に昭和13年5月以降に造られた刀が納まっていることは無いということです。
ですから、九四式軍刀拵に「昭和十五年」や「昭和十七年」と言った裏年紀が切られた刀身が納まっている場合、完全なオリジナルではなく、九四式軍刀拵に他の軍刀々身を合わせて組み立てていると即座に判断しなければいけません。
それを知らず、オリジナルの九四式軍刀だと早合点して高額で購入してしまうと、後々手放さなくざるをえなくなった際に金銭的損失が大きくなります。
因みに九四式軍刀は、上述の通り、昭和13年5月以降は第二佩鐶を外して九八式として用いられることが多かったため、第二佩鐶が失われてしまっているものが多く、こう言った第二佩鐶無き九四式は元九四式と表記すべきであって、九四式と表記するのは問題あり。
尚、第二佩鐶が失われず九四式としてちゃんと残った軍刀拵は、大抵の場合第二佩鐶と第一佩鐶の色が異なります。これは第二佩鐶を外して九八式として長く使われた軍刀によく見られるもので、第一佩鐶が使用に伴い劣化して第二佩鐶と色が異なってしまうのがその理由。ですから第一佩鐶と第二佩鐶とで色が異なることに対してはあまり懸念されなくても大丈夫です。
しかしながら気を付けないといけないのは、元九四式軍刀に後から他の九四式軍刀に使われていた第二佩鐶が取り付けられているケースもあるということ。オリジナルの場合は第一佩鐶と第二佩鐶の桜花の彫刻の仕方や金の色絵等が同じです。第一佩鐶と第二佩鐶の彫刻手法に違和感を感じた場合は、後家の可能性を疑った方が良いですね。
ポイントとしては…
佩鐶に刻された桜花の形状、葉脈が浮き彫りか影彫りか? 槌目が同じか否か? 金色絵が施されている箇所が同じか? 佩鐶の鐶の大きさが同じか?
などが挙げられます。
九四式軍刀拵が刀剣趣味人や軍装趣味人の間で高く評価される理由は、「オリジナルが少ないから」ということを念頭に入れて下さいね。そうそう完品は見かけることはありませんよ。
佩鐶は何と読むのですか?
はいかん でよろしいかと。