無銘(金房) ~大切先の豪壮な一刀~

無銘(金房) ~大切先の豪壮な一刀~
無銘(金房)
– Mumei(Kanabou) –
http://nihontou.jp/choice03/toukenkobugu/wakizashi/393/00.html

金房一派は大和国にて栄えた手掻末葉の刀工群で、南都宝蔵院の僧兵に数多の刀剣を鍛え、兵衛尉政次や隼人丞正實らが著名。十文字槍で有名な宝蔵院流槍術の始祖、覚禅房胤栄の槍も金房一派の刀工の手により鍛えられました。
現存する作品は、刀や槍、薙刀と言ったものが多く、短刀や小脇指の類は少なく、作風としては元先の幅差が少ない頑強なる造り込みが多く、利刀としても優れていたため、武将達からも厚い支持を得ていたようです。

この脇指は、元先の幅差が少なく、大きく切先が延びた豪壮な造り込みで、見る者を惹きつけてやまず、板目に杢目、流れ柾を交えた地鉄が肌立ち、匂口明るく冴えた乱れ刃には、砂流や金筋が見られ、刃縁よく沸がついた覇気に満ちた作品。
附属する拵は魚子塗りで傷み少なく、保存状態良好。小柄が失われていることが惜しまれますが、金着せの切羽は江戸期からのオリジナルで大変貴重。由緒ある上士の家に伝わっていたことが窺い知れます。

現状でも地刃の観賞に支障はありませんが、出来が良いだけに上研磨を施し、本刀が持つ美術価値を存分にお楽しみ頂きたい一刀です。

裸身重量475グラム。  拵に納めて鞘を払った重量697グラム。

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