兼吉
初代兼吉は関七流の中でも最も大きな流派である善定派の始祖、惣領として南北朝末期の康応元年紀(1389)より室町初期、應永にかけて作刀が確認されている有名工です。
銘鑑によると兼吉の出自は「本国大和、手掻包吉同人、または子と伝えられる。名を清治郎。法名善定」とありますが、同銘数代続いており、本刀は無鑑のため、いずれの代に該当するのかは、然るべき鑑定機関に委ねたいと思います。
うぶ買い付けで当店にて研磨を施しました。
杢目肌良く練れて詰むも肌立ち、互ノ目主体に湾れを交え、刃縁頻りに砂流かかり、刃肌立って金筋や稲妻を見せるなど、見所多い在銘古刀です。
附属する陸軍九八式軍刀拵は、とかく錆びやすい鉄鞘にあっては総体的に保存状態が良く、昭和26年の千葉県大名登録であることと、鞘に貼られた旧所有者の名札からも、伝来の良さが窺える一刀で、鞘に貼られた名札は、銃砲刀剣登録制度施行前の、GHQによる刀剣所持許可証交付に伴うもので、この点においても、我が国の刀剣史を物語る恰好の資料と言えるでしょう。
御購入後は是非とも保存刀剣鑑定を御受審下さい。
※金具は全て666番。大切羽のみ刻印未刻ですが、後補ではなくオリジナルのもので、部品のすり替えは一切ございません。
裸身重量478グラム。 拵に納めて鞘を払った重量833グラム。