陸軍九八式軍刀(伝 宇和島伊達家 伊達宗克男爵佩刀) – Type 98 Guntou(Connections Uwajima Date family Date Munekatsu Baron Deals) –

陸軍九八式軍刀(伝 宇和島伊達家 伊達宗克男爵佩刀) - Type 98 Guntou(Connections Uwajima Date family Date Munekatsu Baron Deals) -
陸軍九八式軍刀(伝 宇和島伊達家 伊達宗克男爵佩刀)
– Type 98 Guntou(Connections Uwajima Date family Date Munekatsu Baron Deals) –
 
全長約101.8センチ。鞘約75センチ。柄約26センチ。継木約66.75センチ。
 
この拵を初めて手にした時、保存状態の良さにまず驚きました。そして柄に巻き込まれた特注の目貫を見て更に驚愕しました。笹と雀をモチーフにした、この仙台笹と呼ばれる家紋は、伊達政宗で知られる伊達家の家紋です。
現在は第二佩鐶が失われていますが、鞘にかすかに残る第二佩鐶の痕跡や駐爪釦の位置などから、九四式軍刀でも前期型であることが判ります。金具の随所に配された桜葉と桜花の浮き彫りも、角がしっかりと立っており、細部に渡って職人の手が加えられているようです。石突金具の磨耗も無く、製作された当時の姿をしっかりと現代に残しています。
更に注目すべきは上述にある仙台笹紋が配された目貫。特注品として金工師の手によって作られており、古の目貫の陰陽を踏襲したこの目貫は、指表側が陽、指裏側が陰になっており、仔細に見ると桜花の花弁が表は浮き彫り。裏は影彫りになっていることに驚かれることでしょう。型どりした量産品ではなく、一つ一つに手が加えられている高級特注品であることの証です。
この軍刀の元の所有者を特定すべく、仙台市博物館並びに宇和島市立伊達博物館御協力の下、出来る範囲で調査しましたところ、多々ある仙台笹紋の中でも宇和島伊達家の家紋であろうことが判明。更に調査したところ、陸軍歩兵少佐に男爵 伊達宗克なる人物が見つかりました。
 
元々九四式であったこの拵には、猿手鐶ではなく、正絹の丸紐猿手がついていたのではないかと推測されます。丸紐猿手は素材の関係から傷みやすい欠点があるので、後に刀緒を傷めぬ丸棒式の猿手鐶に替えたのか、或いは丸紐猿手が欠損しているものに、後世の誰かが猿手鐶と尉官刀緒を取り付けたのか…
今となっては不明ですが、仮にこの猿手鐶と刀緒がオリジナルであったなら、伊達宗克男爵が少佐になる以前、尉官であった頃の佩刀の拵が当時のまま保存されてきたのかもしれません。
※本尉官刀緒は長年この猿手鐶に結いつけられていたもので、丸棒猿手による違和感無き磨耗が見受けられます。
所有者特定にまで至ることができる名軍刀拵。しかも伊達宗克男爵の注文になると推測される特注品。滅多にお目にかかれないこの名品。さてどなたがコレクションに加えられるのでしょうか。名軍刀拵入手の千載一遇のチャンスをお見逃し無く。