先日の名古屋での演武では、満足行く試斬演武ができませんでした。
居合形や組居合形、二刀や居合柔術の演武はまずまずであったのに、何故試斬でしくじったのか?
その原因をつきとめるべく、名古屋から戻るとすぐに畳表を相手に自己分析。
原因は肩にありました。
ビデオ撮影し、第三者目線で確認したところ、いつもと刀捌きが全く異なるのです。
思い当たるものとしてはその前日、日本美術刀剣保存協会から審査物件(日本刀15振)を引き揚げたこと。
東京に出るついでに毎回自分で担いで持って帰ってくるのですが、日本刀15振ともなるとそうとうな重量になるものです。
それを担いで移動することにより、肩に負担がかかります。肩からずり落ちないよう、自然と肩をあげるその動きが、やはり数日残ってしまうようです。
斬上時、片方の肩は落ちているのに、もう片方の肩は異常にあがっている。
それによって刀の軌道が変わり、斬撃力も落ちるようです。
江戸時代、禄を持つ武家の者は、けして自分自身で荷物を持って歩くことはなかったと言います。
かならずおつきの荷物持ち(中元等)に持たせるのが常だったようですが、今回の演武の失敗によって、何故そのようなしきたりがあったのかも理解できたように思います。
全てはいざと言う時に存分に働けるよう、このような些細なことですら気をつかっていたのかもしれませんね。
名古屋の剣道少年少女達に、最高の刃味を見せてあげることができなかったことが本当に心残りではありますが、失敗をしたことによってまた一つ賢くなり、良い経験が積めたと思います。
当面、自分の肩のコントロール矯正に時間がかかりそうですが、このスランプを脱した時には更に鋭い振りができるようになっていることでしょう。
今もこれから時間を惜しみつつ、畳表相手に矯正のコツを掴むため精進します。