無銘
– Mumei –
http://nihontou.jp/choice03/toukenkobugu/katana/707/00.html
元幅尋常ながらも先幅広く、元先の差が開かず先重ね厚く、中心長めで控え目釘が穿かれた頑丈な造り込み。手持ちずっしりとした先重りの重心は、その重さだけで容易く裁断を可能にするであろうと感じさせます。まさに実用を重視した武辺者の指料と言えるでしょう。
地鉄は杢目基調に良く練れて詰み、匂口は明るく、直刃に小足が盛んに入り、はばき元には湯走が細く刃縁に現れて二重刃風を呈すなど見所多く、 元来は在銘であったようで、中心には銘を消した痕跡が見受けられ、刀身指表中程のところに、部分的に強く研磨したような箇所があり、そのため現状ではそこだけが凹んで見えますが、気になる場合はこの周囲のみ部分研磨を施すことで目立たなくなります。
附属の拵は黒を基調とした落ち着きと気品漂う天正風拵で、黒塗りの鮫に、深緑色の鹿革にて角製の頭に掛け巻き仕上げ。その存在感は大きく、風格が漂っています。
上述の通り先重りのずっしりとした作ですので、非力な方や初心者にはかなり重く感じられ、居合のお稽古には扱い辛いかもしれませんが、居合上級者や諸手持ちでの斬撃では、予想以上の刃味を発揮してくれることでしょう。勿論、美術鑑賞刀としての力もしっかりと持ち合わせた一刀で、内外共に価値ある作品です。
裸身重量1,021グラム。 拵に納めて鞘を払った重量1,267グラム。