– Mumei –
古刀を仕込んだ九八式軍刀。
小板目肌杢交じって柾流れ、肌立ち地景入る。刃文は匂口明るく冴えた直刃で、小沸本位。腰元の表裏に長く延びた飛焼を交え、刃中沸え、細かな金筋入り、帽子は先掃きかけて沸筋食い下げて大丸に返る。
現状では反り浅く感じられますが、中心で反りを伏せているため、元の姿は腰より先で反り始める所謂先反りの姿。時代を室町中期と表記しましたが、前期まで遡るやもしれません。
古研ぎのためヒケが多数見られますが、生まれの良い大磨上の古刀ですので、再研磨の上、是非保存刀剣鑑定を御受審下さい。
附属の九八式陸軍刀拵は、鉄鞘濃国防色畔光沢塗りで、鞘の状態極めて良く、柄頭と石突の桜花葉の摩耗も見られません。鯉口の胴金と佩鐶に変色が見られるのは、長らくこの軍刀拵が野戦用革覆いに包まれていたためであり、現在その革覆は失われています。金具は『6』刻印が打たれた完全なオリジナル。
裸身重量599グラム。 拵に納めて鞘を払った重量966グラム。