成家
無銘(成家)
– Mumei (Nariie) –
 
成家は小反り派に分類される備前の刀工で、一説に光忠の弟である景秀の孫とも伝えられます。銘鑑によれば文和・康安・応安・永和・永徳の年紀が確認されており、また、作風及び銘字などから、兼光との関係も窺えると本間薫山先生は記しておられます。
彼の技術は同年代の兼光一門の政光に比して優るとも劣らぬもので、互の目や湾れ交じりの乱れ刃を多く焼いています。
 
この刀は小板目杢交じりの肌がよく練れて少しく肌立って淡い乱れ映りを見せ、刃文は直刃基調に小互の目交じり、小足入り、匂口締まりごころに小沸付き、葉や細かな砂流を交え、金筋入り、鋩子は直ぐ調に先丸く返っています。
素人による耐水ペーパーでの錆落としが見られるので、再研磨の必要はございますが、急いで諸工作されずとも、現状でも地刃の鑑賞はお楽しみ頂けます。
いずれ研磨を施し、特保同時審査を御受審頂き、本刀をお客様の手によって出世させて下さい。
 
裸身重量774グラム。

備州長船祐定

備州長船祐定
備州長船祐定
– Bishu Osafune Sukesada –
 
杢目鍛えの地鉄に互ノ目を焼いた作品。
付属の九八式略式軍刀拵は後に合わせられたもので、この脇指元来の拵ではありません。切羽やはばきは模擬刀の物が使用されています。柄には相当なガタツキがありますので、添え木等で調整が必要です。こちらは有償(5,000円+税)となりますが、当店でもお引き受け致しますのでご希望の方はお気軽にお申し付けください。
 
裸身重量426グラム。  拵に納めて鞘を払った重量715グラム。

備州長船祐定作 天正二年八月日 ~昭和の大実業家、崎山好春氏旧蔵品~

備州長船祐定作 天正二年八月日 ~昭和の大実業家、崎山好春氏旧蔵品~

備州長船祐定作 天正二年八月日
– Bishu Osafune Sukesada saku –
 
末備前物と称される室町末期の刀工中、祐定銘の作刀は多く、中でも与三左衛門尉、源兵衛尉、彦兵衛尉が有名です。刀剣の需要が多く求められた戦国期、備前刀は数多の戦に向けて数多く鍛えられ、そうした実用刀で俗名を銘切っていない末備前物を、数打と卑下する悪習が刀剣界にはありますが、粗製乱造されたわけではなく、俗名を銘切っていない作品の中にも、驚く程出来が良い作品が多々見受けられ、中には俗名個銘極めまで可能な出来優れた作も見られます。
 
この脇指は、杢目肌が良く練れて肌立って地景入り、中直刃基調に小足を交えて小乱れを呈し、刃縁上品に沸づいて金筋入り、砂流顕著に現れるなど、単調な直刃のイメージを覆す出来良い逸品です。
 
附属の拵は切羽の一枚に至るまで、すり替えられることなく保存された製作当時のオリジナル。小柄が失われていることだけが惜しまれます。
兵庫県の大きな御屋敷からこのたび売却された名品で、旧所有者は昭和を代表する大物実業家で、愛刀家としても知られた崎山好春氏。重要美術品指定の刀剣をはじめ、数多の名刀を秘蔵されていました。既にそれらの多くは売却されましたが、今回同家に残る刀剣類5振を引き取らせていただき、極上研磨を施して皆様にご案内差し上げる次第です。
 
※崎山 好春(さきやま よしはる 1897年(明治30年)9月19日~1974年(昭和49年)6月10日)
日本の実業家。大同海運社長、大日海運会長を務めた。東京都知事石原慎太郎、俳優石原裕次郎兄弟の実父石原潔の前妻勝子は崎山の妻の姪にあたる。
 
裸身重量505グラム。  拵に納めて鞘を払った重量796グラム。

大磨上無銘(末備前) ~上研磨しあがったばかり~

大磨上無銘(末備前) ~上研磨しあがったばかり~
無銘(末備前)
– Mumei(Sue Bizen) –
http://nihontou.jp/choice03/toukenkobugu/katana/726/00.html

末備前物と称される室町末期の備前物の中、祐定銘の作刀は多く、中でも与三左衛門尉、源兵衛尉、彦兵衛尉が有名です。刀剣の需要が多く求められた戦国期、備前刀は数多の戦に向けて数多く鍛えられ、そうした実用刀で俗名を銘切っていない末備前物を、数打と卑下する悪習が刀剣界にはありますが、粗製乱造されたわけではなく、俗名を銘切っていない作品の中にも、驚く程出来が良い作品が多々見受けられ、中には俗名個銘極めまで可能な出来優れた作も見られます。

この刀は大きく磨り上げられ、現在では無銘になっていますが、地刃の出来から察するに、元は在銘であったものと思われます。
杢目肌が良く練れて肌立ち、刃縁柾がかるところがあって乱れ映りが立ち、末備前の典型とも言える腰が開いた互ノ目乱れに丁子刃が交じり、焼き頭は鎬を超えんばかりに高く焼かれ、足・葉頻りに入り、砂流がかかるなど賑やかな出来口を示す逸品で、切先がやや延びた鋭い姿の中に末備前ならではの優雅な地刃を堪能できます。
当店買い付け時には薄らと錆に包まれていましたが、美術鑑賞用上研磨を施し、更には末備前の互ノ目と丁子を引き出すべく、古式の差し込み研ぎで仕上げております。

付属する九八式軍刀拵は、鞘に一部軽い凹みが見られるも、保存状態は良好であり、軍装資料としての価値も持ち合わせています。金具の通し番号を見ますと、鐔のみが213と刻印が異なりますが、鐔にガタつきは一切無く、切羽に開けられた僅かに傾いた中心穴と、鐔の中心穴は角度や大きさも合致している点から見て、後世のレストアではなく、製作当時のオリジナルで間違いないと思われます。
研ぎあげたばかりの清々しい末備前、是非この機会にコレクションにお加えください。

裸身重量616グラム。  拵に納めて鞘を払った重量941グラム。

則光 ~拵新調済み~

則光
則光
– Norimitsu –
http://nihontou.jp/choice03/toukenkobugu/katana/721/00.html

戦乱の世に鍛えられた所謂数打物と呼ばれる刀剣は、実用に支障がない鍛錬疵は問題無しとして納品されたと言います。
この刀もそういった戦乱期に鍛えられた実用目的の一振で、埋鉄や小疵が点在し、鎬地には撓えが多数見られ、杢目柾流れの地鉄は肌立って一部淡く映りごころもあり、刃文は砂流顕著にかかった互ノ目乱れを焼いています。

付属の拵は店主 町井勲監修の下新調しました武用拵で、気が利いた現代金具を用いるも、お求め易い低価格を実現すべく、鮫は親粒がない歯切れを短冊に張り既製品の鞘を転用するなどしてコスト削減に成功しました。
素銅切羽は既製品ではなく、職方による真面目な手造りの品で、手頃な価格がらも、目立たぬ箇所でしっかりと職人の技を活かしたものになっています。
※末備前は自身銘の他様々な銘切師によって銘切られていたため、本刀則光銘に関しては真贋保証はございません。

裸身重量750グラム。  拵に納めて鞘を払った重量979グラム。

誠(以下切 誠定) ~江戸前期の備前の刀工~

誠(以下切 誠定) ~江戸前期の備前の刀工~
誠(以下切 誠定)
– Aki(Akisada) –
http://nihontou.jp/choice03/toukenkobugu/tachi/058/00.html

大きく磨り上げられ、中心尻に“誠”と読める一字のみが残っています。小疵はあるも刃中に欠点は無く、僅かに元先の差があり、反り程よく総体的に優しい感じの体配で切先はやや延びごころ。鎬が高く、佩表腰元に二本樋。裏に腰樋に添え樋を丈比べのように丸留めにした手の込んだ造り込みから、凡刀ではないことが窺い知れます。
地鉄は杢目がよく練れて地景入り、小沸本位の直刃を焼き、解れごころの刃を交えた古調な刃文です。
銘鑑を紐解くに、江戸前期の寛文頃に、名を安藤徳兵衛と称し、刀工銘を誠定(あきさだ)と名乗る刀匠が一名見られました。本刀はこの工の作であろうと思われます。是非保存刀剣鑑定を御受審下さい。
※現登録証では種別が刀、銘文が無銘になっておりますので、内容訂正の手続きを行ってからの納品となります。

裸身重量554グラム。

備前長船住横山祐包 慶應元年八月日 友成五十八代(以下切) ~拵入り~

備前長船住横山祐包 慶應元年八月日 友成五十八代(以下切) ~拵入り~

– Bizen Osafune ju Yokoyama Sukekane –
http://nihontou.jp/choice03/toukenkobugu/katana/687/00.html

友成五十八代孫と銘する横山祐包は、祐盛の養子で、加賀介祐永と共に新々刀期の備前刀を代表する刀工として著名。作風は小板目肌よく詰んだ鍛えに、刃文は匂出来で匂口の締まった華やかな丁子乱れを得意としていますが、穏やかな直刃の作も見受けられ、年紀を切った作品は天保六年頃から明治五年まで経眼されます。

この刀は重ね厚く、小板目よく詰んだ肌に匂い本位の明るく冴えた直刃を焼き、鼠足を交えています。銘の上を軽く擦られており、若干底銘気味ですが、特筆すべき鍛錬疵は無く、価格的にもお楽しみ頂ける一刀です。はばきが長いので、実質二尺四寸の刀としてお使い頂けます。
尚、気まぐれで安価表示しておりますので、気分次第で現在の表記価格より値上げする可能性がございます。お求め易い低価格表示のうちにお求め下さい。

裸身重量864グラム。  拵に納めて鞘を払った重量1,119グラム。

守光 ~うぶ在銘備前古刀が破格値!!~

守光 ~うぶ在銘備前古刀が破格値!!~守光
– Morimitsu –
http://nihontou.jp/choice03/toukenkobugu/katana/686/00.html

室町前期永享頃に活躍した備前の小反り系鍛冶、三代守光と思しき一刀です。
うぶ中心在銘で姿も良く、江戸期に中心の反りを伏せ、斬り易い姿に手を加えられています。中心反りを後世に伏せることで、全体の反りを調整する方法は古来よりよく行われていることですので、欠点には入りませんからご安心頂いて結構ですが、惜しいかな所々に深い錆があります。
砥ぎで押し切れば、かろうじて匂口を残しつつ仕上げなおすことができるやもしれませんが、前にこの守光を手がけた研師は、元の姿を残すことを選択し、敢えて深錆を残したまま仕上げたようです。そのため深錆の影響により刃毀れ状になっている所が数箇所ございます。
杢目錬れた地鉄には淡く乱れ映りが立ち、うぶ在銘古刀として資料価値高い一刀ではありますが、美術刀剣の世界での評価はどうしても低くならざるを得ません。今回破格値で御案内致しますのは、この一刀をぞんざいに扱わず、将来的にしっかりとした工作を施していただきたいがためです。
うぶ在銘の備前古刀をお探しの方、また、居合形稽古用に手持ちバランス最上の一振をお探しの方、是非この守光刀をご検討下さい。

附属の拵は江戸期の古いもので、鞘は痛みなく保存状態は良好。鐔は長正(花押)の在銘品。柄は後補のため刀身は柄に対して刃寄りになっていますが、そのままお使い頂くことが可能です。鞘と柄のズレを気にされる場合は、有償になってしまいますが、当店にてしっかりと柄の調整をさせていただきますのでお気軽に御相談下さい。※工賃は2万円程です。

裸身重量557グラム。  拵に納めて鞘を払った重量833グラム。

備州長船住勝光 ~町井勲監修 武用拵新調済み~

備州長船住勝光 ~町井勲監修 武用拵新調済み~
備州長船住勝光
– Bishu Osafune ju Katsumitsu –
 
二尺六寸七分余もある長寸刀の御紹介です。
互ノ目乱れを主体に随所に砂流が見られ、特に指表物打の出来が良いです。古研ぎ身につき、手入や経年によるヒケ、指裏に素人が細かい耐水ペーパー等で錆を除去しようとした痕跡があり、観賞刀としては美観を損ねるものの、焼刃等に問題は無く、再研磨で綺麗になります。
ご周知の通り、長寸の刀は古い時代に磨り上げられ、うぶの姿を留めているものは少なく、そのため長寸の古刀を探すのは一苦労するものです。
この刀は無鑑につき、銘の真贋保証は致しかねますが、長寸の古刀をお探しの方、また、長寸の武用刀をお探しの方にはうってうけの一刀で、手持ちバランスも非常に良いです。
 
附属の拵は町井勲監修にて一切の妥協を許さぬ拘りにて新調したもので、柄には微塵の捩れも無く、刀身と柄との芯もしっかりと出してあります。裏革にて捻り巻きにした手に馴染む柄巻きや、鮫は親粒を用いた腹合着(一枚巻き)、切羽はこの刀のためだけに造った銀無垢切羽で、鐔を外した状態で装着すると、ピタリと鐔の位置で止まります。拵を新調するにあたり銀はばきも新調しました。かなりのコストをかけた武用拵の逸品、是非この機会にお求め下さい。研磨に関する御相談もお気軽にどうぞ。
 
裸身重量761グラム。  拵に納めて鞘を払った重量1,017グラム。

一龍子作(長光)

一龍子作(長光)

一龍子作(長光)
– Ichiryushi saku(Nagamitsu) –
 
昭和19年陸軍々刀技術奨励会展に於て、「指定刀匠の部」に名前を連ねている昭和前期の名工市原長光。号を一龍子と称しました。
戦時中岡山刑務所の所長であった江村繁太郎は、模範的な受刑者の更生を願い、市原一龍子長光を招聘して受刑者に先手をさせ、刑務所内に於いて数多の日本刀を鍛錬しました。
そのため俗に市原長光の作は、世上、「監獄長光」と言われていましたが、岡山刑務所で鍛えられた作には「江村」と銘切られていたため、長光個銘の作を指して「監獄長光」と呼称するのは間違いと言えます。
戦時中という世情もありまともな美術研磨を施された作品が少ないため、単に本鍛錬軍刀の一つと括られ勝ちですが、入念なる研磨を施して見るとその技量の高さに誰もが驚く昭和の名刀で、利刀としての評判は当時から高く、陸軍受命刀工としても活躍しました。

この刀は見幅広めで重ね厚く、松葉先もしっかりと張って切先が延び、如何にも物斬れしそうな豪壮さを感じさせる体配に、杢目肌が良く練れて肌立ち、匂口明るく冴えた互ノ目丁子を巧みに焼いた作品で、新々刀期の備前物を彷彿とさせる出来口。

附属の拵は陸軍将校用新軍刀。通称三式軍刀。またの名を決戦刀と呼ばれるタイプで、それまでの戦訓から、九四・九八式軍刀は「柄」と柄に纏(まつ)わる目釘と柄糸の脆弱性が問題視され、それらの問題を改善し、且つ、時局柄、機能・実用に重点を置いた外装として誕生しました。
責金や猿手は省略され、鐔と金具も簡素化。鯉口には防塵2分割口金を採用。また、納める刀身の中心の長さを増し、二本目釘にして頑強さを求めました。中には通常、竹を用いて作られる目釘を、螺旋式の鉄目釘にしているものも見られます。
柄巻きは一貫巻を採用し、柄糸には漆を掛けて補強が図られた他、目貫が旧来の太刀拵から打刀拵の位置に変更される等の特徴を持つ、まさに実戦用軍刀拵です。本刀附属のこの三式軍刀はその中でも初期型で保存状態極めて良く、軍装趣味人にとっては垂涎の品と言って過言ではないでしょう。

現状でも地刃の観賞は可能ですが、出来が良い一刀だけに、是非とも美術観賞用の真面目な研磨を施して頂き、市原長光の技量の高さをご堪能下さい。

裸身重量794グラム。  拵に納めて鞘を払った重量1,157グラム。