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無銘(田代兼信)
肥前國忠廣
加州藤原景平(初代兼若の長男にして事実上の二代兼若と言われる加賀前田家お抱えの名工)
加州藤原景平
– Kashu Fujiwara Kagehira –
http://nihontou.jp/choice03/toukenkobugu/wakizashi/365/00.html
越中守高平(初代兼若)の長男。父高平の作刀を助けて時に代作も務めました。加賀前田家に仕え、同国で最もよく知られた兼若一門の刀工です。
俗名を辻村四郎右衛門と称し、辻村家の家督を継ぐも、父である初代兼若が高平へと改銘するに伴い、自身も景平と名乗り、兼若とは名乗っていないものの、事実上の二代兼若に当ります。
尚、兼若銘は弟である又助が襲名し、上述の通り、景平は辻村家の家督を継ぐも、兼若家の由緒書によれば彼には子がなかったため、又助兼若が養子となり、辻村家の家督を継いだと記されています。その後兼若の名跡は代を重ねて繁栄しました。
この脇指は加賀前田家中による依頼で鍛えられたものと推測され、武家における大小の小として頃合の寸法。元先の身幅の落ち具合や程好い反り、帽子やや延びごころの体配は、流石は加賀正宗と称された兼若家の手に成る脇指であると感服させられます。
地鉄は小板目で、所々に大肌や粕立つところが見られるも、総体に言えばよく詰んて潤いを感じさせるもので、淡く映りも立ち、刃文は匂口柔らかい感じの匂勝ちなる湾れ調互ノ目乱れ。匂口明るく、刃中にも細かな働きが随所に見られます。
兼若(景平含)の作に関し、前田家中の間では「見るには沸出来。使うには匂出来。」との言葉が残っており、兼若家の作品は沸出来よりも匂出来の方が利刀としては優れていた節が窺え、本脇指はその後者である匂出来の作品。観賞よりも実用を重視した士からの需めに応じて鍛えられた作品やも。と考えると、歴史浪漫も広がります。
※はばき上棟に鍛え筋。切先々端と刃区に小錆があります。
初代の代作をも務めた事実上の二代兼若!! 利刀としてもその名を轟かせ、良業物の作者としても有名! 是非この機会に御入手下さい。
裸身重量399グラム。
無銘(平長盛)
濃州関住兼時作之 昭和壬子年仲秋吉日
父である兼道(小島時二郎)に作刀を学び、後に渡辺兼永の下でも作刀を学びました。祖父兼時の名を襲名し、二代兼時となりました。奨励賞、努力賞入選多数。実力ある現代刀工です。
この刀は無疵無欠点で、良く練れて詰んだ精美な地鉄に匂口冴えた丁子乱れを巧みに焼き上げた、兼時刀匠会心の一作。足・葉頻りに入って細かく乱れる。
いかにも丁子刃と言わんばかりの仰々しい丁子を焼いた現代刀が散見される中、この刀の丁子は非常に落ち着きがあり、上品な仕上がりになっています。
居合用として鍛えたものではなく、美術鑑賞刀として入念に鍛えられたことは、上の出来もさることながら、丁寧に仕立てられた中心と、細鏨で力強く切られた銘振りからも窺がえます。
鞘を払った重量が1,090グラムと非常に頃合で、しかも手持ちバランスが良く、全てにおいて完璧に纏め上げられていますので、美術鑑賞用としても、また、居合武用刀としてもご堪能頂けます。
疵が無く、綺麗でしっかりとした出来口の一刀をお探しの方に心よりお薦め致します。
裸身重量822グラム。 拵に納めて鞘を払った重量1,090グラム。
土佐守藤原正信
若狭守藤原氏良
筑前住山口安宗作 昭和丙寅年八月吉日 ~美術観賞用上研磨完了!~
一龍子作(長光)
戦時中岡山刑務所の所長であった江村繁太郎は、模範的な受刑者の更生を願い、市原一龍子長光を招聘して受刑者に先手をさせ、刑務所内に於いて数多の日本刀を鍛錬しました。
そのため俗に市原長光の作は、世上、「監獄長光」と言われていましたが、岡山刑務所で鍛えられた作には「江村」と銘切られていたため、長光個銘の作を指して「監獄長光」と呼称するのは間違いと言えます。
戦時中という世情もありまともな美術研磨を施された作品が少ないため、単に本鍛錬軍刀の一つと括られ勝ちですが、入念なる研磨を施して見るとその技量の高さに誰もが驚く昭和の名刀で、利刀としての評判は当時から高く、陸軍受命刀工としても活躍しました。
この刀は見幅広めで重ね厚く、松葉先もしっかりと張って切先が延び、如何にも物斬れしそうな豪壮さを感じさせる体配に、杢目肌が良く練れて肌立ち、匂口明るく冴えた互ノ目丁子を巧みに焼いた作品で、新々刀期の備前物を彷彿とさせる出来口。
附属の拵は陸軍将校用新軍刀。通称三式軍刀。またの名を決戦刀と呼ばれるタイプで、それまでの戦訓から、九四・九八式軍刀は「柄」と柄に纏(まつ)わる目釘と柄糸の脆弱性が問題視され、それらの問題を改善し、且つ、時局柄、機能・実用に重点を置いた外装として誕生しました。
責金や猿手は省略され、鐔と金具も簡素化。鯉口には防塵2分割口金を採用。また、納める刀身の中心の長さを増し、二本目釘にして頑強さを求めました。中には通常、竹を用いて作られる目釘を、螺旋式の鉄目釘にしているものも見られます。
柄巻きは一貫巻を採用し、柄糸には漆を掛けて補強が図られた他、目貫が旧来の太刀拵から打刀拵の位置に変更される等の特徴を持つ、まさに実戦用軍刀拵です。本刀附属のこの三式軍刀はその中でも初期型で保存状態極めて良く、軍装趣味人にとっては垂涎の品と言って過言ではないでしょう。
現状でも地刃の観賞は可能ですが、出来が良い一刀だけに、是非とも美術観賞用の真面目な研磨を施して頂き、市原長光の技量の高さをご堪能下さい。
裸身重量794グラム。 拵に納めて鞘を払った重量1,157グラム。









